本研究の意義としては、第一に、従来から約款法研究において主要な比較対象とされてきたドイツ法の近時の重要な議論について、その全体像を比較的詳細に整理したことが挙げられる。この議論を簡潔に紹介し、または、その一部のみを検討対象とする研究は、これまでも我が国において見られたが、その全体を詳細に扱ったという点に、本研究の新規性がある。 第二に、事業者間契約のいずれの当事者が約款を使用するかによって、異なる規制目的論が成り立つことを示したことも、本研究の意義として挙げられる。この知見は、直ちに日本法の解釈論に寄与するものではないが、我が国でも事業者間契約の約款規制のあり方を構想するうえで参考となる。
|