今回の科研費研究における研究対象は、令和3〔2021〕年第204回国会で可決成立した所有者不明土地問題に関する2つの立法――「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)・「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)――の、理論および実務に及ぼす影響分析である。 研究期間(3年間)の最終年である令和5(2023)年度においては、令和6(2024)年4月1日より不動産登記法のうち未施行部分(相続登記の義務化等)の規定が施行され、未施行規定は令和8(2026)年施行予定の住所変更登記の義務化等の規定を残すのみとなった。 本研究の初年度には、改正法の概要を示した『新旧対照解説:改正民法・不動産登記法』(ぎょうせい、2021年6月、総ページ数328ページ)を発刊したが、研究最終年度である本年度においては、新法(民法・不動産登記法・相続土地国庫帰属法のすべての法制度・条文)の問題個所を個別的に検討した『論点解説:改正民法・不動産登記法――法・政令・規則の考え方と対応』(ぎょうせい、2024年5月刊行予定、総ページ数420ページ程度)の執筆を行い、現在発刊に向けて2校の段階に来ている。 その他、最終年度においては、前年度と同様、関東ブロック司法書士会協議会、福岡県司法書士会、福岡県行政書士会にて、所有者不明土地関係改正をテーマとする講演・報告を行った。
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