研究課題/領域番号 |
21K01226
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
川村 尚子 國學院大學, 法学部, 講師 (00805731)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デジタルプラットフォーム / EU法 / 消費者法 / 民事責任 / DSA規則提案 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第一に、デジタルプラットフォーム(DPF)の取引構造及びDPFが消費者の購買決定に与える影響力を明らかにし、日本における既存の法的枠組の限界を検討・整理すること、第二に、EUレベルでDPF取引に関する法的問題がどのように認識され、どのような法規制の在り方が模索されているかを明らかにすること、第三に、EU各加盟国レベルで指令の国内法化も含め、DPFを介した取引に対する規制にどのような姿勢がとられているか、法整備の背景を調査し、各国のスタンスの動向を明らかにすることである。 令和3年度は、3年間にわたる本研究の初年度にあたるため、日本国内において収集可能なEU及び日本におけるDPFをめぐる問題に関する資料の収集・整理・分析を中心に作業を進めた。この他、国内の研究会に参加するなどして情報・意見交換を行った。特に、今年度は、2021年12月に提出されたEUのデジタルサービス法(DSA)規則提案の条文案を翻訳・分析することを中心課題に据えて作業を進めた。EUにおいて、包括的なDPF規制の枠組みが示されており、DPFの規模に応じてある種の誠実義務を段階的に設定していることや、規制手法として企業ガバナンス体制の構築が目指されていることなどを明らかにすることができた。その成果の一部として、国際取引法研究会及びヨーロッパ消費者法研究会において研究報告を行ったほか、「翻訳EUデジタルサービス法(規則)提案」消費者法研究10号(2021年)339~415頁を公表した。また、DSA規則提案に関する整理・分析の成果の一部を、令和4年度中に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、EUにおけるPF規制に関する立法の動向について研究を進行させることができた。文献調査のほか、特に、国内のオンラインによる研究会に参加するなどして、DSA規則提案の翻訳の検討及びDSA規則提案の意義などについて議論を行うことで、研究を進展させることができた。予定していた国内出張など、人の移動や接触を伴う研究活動は、新型コロナの影響のため実施できなかったが、適宜オンライン開催に切り替えるなどして対応した。全体としてみれば、概ね計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、研究計画に従い、研究テーマについての資料・情報収集を継続する。また、9月から1年間ドイツ・ハンブルクのマックスプランク外国私法・国際私法研究所で研究する機会を得ることができたため、同研究所を拠点として特に海外の必要な文献を調査・収集するとともに、当初の計画通り、ドイツ・オスナブリュック大学のクリストフ・ブッシュ教授とも連携をとりながら調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、予定していた国内出張が、新型コロナの影響で実施できず、また、文献や備品・機材についても他の研究費で賄うことができたため、旅費と物品費を執行しなかった。令和4年度は、ドイツ・ハンブルグのマックスプランク研究所を拠点として、海外での研究調査を行うため、旅費及び文献資料の購入費や配送料として助成金を用いることを予定している。
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