本研究は、超少子高齢社会を背景とする中で種々の問題点が指摘されることになったマンション管理制度(例:マンション居住者の高齢化に伴いマンション管理組合の役員のなり手がいない、輪番制にしても後期高齢者が相当数を占めるに至り、これまでと同様の活動が期待できなくなっている等)につき、法的視点から行う研究である。 これまで当然視されてきた分譲マンションにおける管理方式である、区分所有者が自主的に行う自主管理方式には無理があり、区分所有者ではない第三者たるマンション管理業者にほぼ全面的に管理を委託する第三者管理が近時進行しており、第三者管理の課題と対応につき比較法的手法により研究するのが本研究である。具体的には、わが区分所有法の母法たるドイツ住居所有権法(WEG)におけるマンション管理の中核である管理者及び管理顧問会につき詳解・検討を行う(当然、2020年WEG改正をふまえる)。 ドイツ法においては、マンション管理の中核となる管理者には第三者たる管理業者が就任することはほぼ当然の前提になっており、マンション管理については第三者管理を前提としたうえで制度設計がなされている。この点、第三者管理が進行しつつある我が国にとって、比較法の対象としてドイツ法を紹介・検討する理論的・実務的意義がある。 2023年度にあっては、ドイツ法における管理顧問会の検討を進めるとともに、我が国にその理念を落とし込むとするならば、区分所有法上の監事であるのでその方向性に基づき検討を進めた。同時に、ドイツ住居所有権法における管理者についても引き続き検討を進め、本年度にあっては、管理者の報酬面を中心に検討をすすめた。本年度にあっては、上記の2点を主軸に検討したので、研究成果としても2本の論文を公にすることができた。
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