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2023 年度 実施状況報告書

国内航空運送における人身損害への一部無過失責任の導入

研究課題

研究課題/領域番号 21K01235
研究機関関西外国語大学

研究代表者

小林 貴之  関西外国語大学, 国際文化研究所, 研究員 (60834637)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード航空保険料 / 旅客の人身損害 / 運送人の一部無過失責任 / 乗客賠償責任
研究実績の概要

本年度は、2022年7月の日本航空保険プール代表幹事会社および日本航空との検討会合における助言を受け、世界各国の航空会社のためにロンドンのロイズ保険組合との交渉を行っている航空保険ブローカーWillis Towers Watsonのアジア地域代表を我が国に招聘し、日本航空保険プール代表幹事会社も同席の上で、我が国の国内航空運送において国際航空運送と同様に人身事故に対する一部無過失責任を導入した場合の航空保険料率に与える影響についての事前打合せを実施した。 すでに日本航空保険プール代表幹事会社からの見解聴取において指摘されていたように、航空保険交渉は契約更改日の1ヵ月前からロンドンのロイズ保険組合のアンダー・ライターとの集中的な個別交渉により保険料率が決定されることから、航空保険の期中ではなく、更改時に交渉のテーブルに載せることにより、新たな責任スキームであってもアンダー・ライターに無用の警戒心を抱かせなくてすむのではないかとの見解が示された。ただし、航空保険料は航空保険市場における引受け需要、すなわちリスクを引受けることによるリターンへの期待の大きさによって大きく左右されるため、コロナ禍から徐々に国際線旅客輸送量は回復の兆しを見せ始めているとは言え、事前打合せの段階においては未だ航空保険料率の変動は予測しがたいであろうとのことであった。この指摘を踏まえ、ロンドンのロイズ保険組合において日々アンダー・ライターとの保険料率の交渉を行っているWillisロンドン本社への見解聴取は、国際線旅客輸送量のある程度の回復が確実に見込める2024年上期以降に行うこととし、そのロンドン会合の具体的日程等の調整は日本航空保険プール代表幹事会社に委ねることとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍による各国の入国制限や国際線旅客輸送量の減少により、英国航空や大韓航空への国内線への一部無過失責任の拡大に対する実務上の影響や、英国ロイズ保険組合の保険ブローカーに対する保険料率への影響についての見解聴取が本年度は困難となっていたが、2024年度上期にこれらを実施できる環境が整ってきた。

今後の研究の推進方策

2024年6月以降に英国ロイズ保険組合の保険ブローカーWillis本社への保険料率の変動に関する見解を聴取予定。併せて、英国航空および大韓航空に対しても、1999年モントリオール条約と同様の旅客の人身損害に対する一部無過失責任を国内線にも導入したことによって何らかの実務上の弊害が生じたかどうかについて、各々の本社に対して見解を聴取する予定。
また、本邦大手航空会社との議論のなかで、国内旅客運送に一部無過失責任を導入することによる旅客からの不当なクレームの増加を懸念する声もあったことから、現在の国内線旅客運送約款が定める航空会社の責任発生要件、すなわち「事故又は事件に起因する死亡又は負傷その他の身体の障害」がどの程度機能するのかについて今後も議論を深めていく予定。さらにこの点については、1992年11月に本邦航空会社が国際線旅客運送約款を改定し、現在の128,821SDRまでの人身損害に対する無過失責任および超過額に対する過失推定責任の二層式の責任原則を採用した際に、当時の航空振興財団が主催した航空私法研究会(または運送約款委員会)において、どのように一部無過失責任の検討が行われたのかについての当時の議事録を検証し、また当時の関係委員からも聴取を行う予定。

次年度使用額が生じた理由

本年度予定していた英国ロイズ保険組合の保険ブローカーへの航空保険料への影響に関する見解聴取、また英国航空および大韓航空に対する国内旅客運送への一部無過失責任の導入による実務上の影響の有無に関する見解聴取を、コロナ禍による入国制限や国際線旅客輸送量の減少により実施できなかった。そのため、これらの実施を次年度へと繰り越さざるを得ず、これに伴い、今年度支出を予定していた上記のための費用も次年度へと繰り越さざるを得なかったため。

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公開日: 2024-12-25  

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