研究課題/領域番号 |
21K01236
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
山本 真知子 甲南大学, 法学部, 教授 (40350855)
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研究分担者 |
瀬谷 ゆり子 桃山学院大学, 法学部, 名誉教授 (00226680)
尾形 祥 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20515259)
尾崎 安央 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30139498)
川島 いづみ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50177672)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 財団法人 / ガバナンス / コーポレートガバナンス / 会社法 / 私立学校法 / 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 / 社員不在 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社員が不在の財団法人のガバナンスを、コーポレートガバナンスの研究が進展している会社法学の立場から批判的に検討しその改善策を提示することにある。当初より、前提として、これまでの学校法人研究の成果を改めて精査し、開示・会計・監査、社外役員の活用というコーポレートガバナンスの視点から私立学校法改正や国立大学法人法改正の意義と残された課題を抽出し、財団法人に応用できる点を整理する予定としていたところ、令和5(2023)年4月に私立学校法が改正された(令和7(2025)年4月施行予定)。同改正は、学校法人ガバナンスにつき、理事と評議員の兼職禁止、大規模な法人等への会計監査人設置の義務付け、理事・監事等の罰則規定の整備などの重要な変更を加えるものであった。そこで、同改正の理論的な意義を探り、社員(社団の構成員)の不在という学校法人ガバナンスの抱える根源的な問題を明らかにするため、令和3(2021)年度の研究成果である雑誌連載等に大幅な加筆・修正を加え、令和5年12月に書籍として刊行した(「10.研究発表」参照)。書籍化等のために、令和5年5月、7月にオンラインで研究会を開催したほか、随時オンライン又は対面で書籍編集を含む研究活動を行なった。加えて、学校法人の理事に関する判例評釈も発表した(「10.研究発表」参照)。私立学校法上の法人ではあるが実質は公益財団法人であるとされる学校法人のガバナンスに関する研究が進展したことにより、社員が不在の法人のガバナンスの問題点がより鮮明になり、財団法人ガバナンスについての研究にも資する結果となった。令和6(2024)年1月には、オンラインで研究会を開催し、財団法人ガバナンスについての研究の方向性を再確認し、今後の研究の推進方策を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3(2021)年度、令和4(2022)年度におけるコロナ禍のもと調査活動に制約があり、研究会も対面方式で実施できていない点で、当初計画の変更を余儀なくされたことが、2023年度にも影響している。加えて、前提としての学校法人ガバナンスの研究に関し、令和5(2023)年4月に私立学校法の大改正があったことから、この点についての研究成果をまとめた書籍を同年12月に刊行したため、財団法人についての研究にやや遅れが出ている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を令和6(2024)年度まで延長し、前提となる学校法人ガバナンスの研究については大きな進展があったことを踏まえ、財団法人についての具体的な検討を進めていく。具体的には、財団法人に関し、①総論 公益財団法人、一般財団法人「廃止論」 、 ② 財団法人の評議員会と一般社団法人の社員総会、③財団法人の監査(学校法人・医療法人等との比較)、④財団法人の収益事業と子会社等のテーマについて研究を進めていく。加えて、比較法として、①チャリティ(イギリス)、②スウェーデンの財団法人、等を対象とする。さらに、社会福祉法人・医療法人等についても全体的な比較検討を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題の前半部分である学校法人ガバナンスにつき、令和5年に私立学校法の重大な改正があった。そのため、令和5年度においては、すでに収集が終了していた資料等を中心に学校法人ガバナンスにつき書籍等を執筆した。そのため、次年度である令和6年度において、後半部分の財団法人ガバナンスについての研究を進めるため、資料収集・研究会の開催等のための使用額が生じることとなった。
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