研究課題/領域番号 |
21K01247
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本間 学 金沢大学, 法学系, 准教授 (80387464)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Open Justice / ウェブ公開 / リモート審理 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、英国におけるOpen Justice原則の概要を明らかにしたうえで、Open Justice原則とウェブでの裁判公開との関係で、訴訟関係人等の情報保護が英国においてどのようになされているかを、主に文献調査により検討した。この検討の結果、主に次の点が明らかとなった。 近年、英国はOpen Justice原則の実質化をより一層促進する方向へと向かっており、最高裁、及び控訴院の一部事件については、その審理のインターネットによる中継が行われている。このようなインターネット中継を行うに際しては、訴訟関係人のプライバシーを保護するために、対象となる訴訟段階の限定やカメラ角度の工夫などの措置がとられている。 また、英国は、コロナ禍により、リモート審理の導入をいち早く実現したが、このことは同時に、かかる審理におけるOpen Justice確保の要請を齎し、リモート審理の公開を行うための諸措置が、時限立法であるCoronavirus Act2020により用意された。その中には、事前認証を経たうえでの傍聴人のリモート審理へのアクセスを、限定的ながら認める注目すべき展開がみられる。この時限立法でもたらされた方式は、法改正によりコロナ終息後も、Open Justiceの実質化のために、永続的に活用することが予定されている。 他方、以上のような映像の送信を用いた裁判公開を導入するにあたり、Open Justice原則に対する例外を拡大する動きは、英国では見られない。 これらの検討結果をまとめた報告を、2022年3月開催の関西民事訴訟法研究会3月例会において報告をした。くわえて、研究課題と間接的に関係する報告(「民事裁判手続のIT化と司法アクセスの確保」)を、2021年5月に、日弁連司法シンポジウム運営委員会勉強会において行い、その内容の一部金沢法学に論稿として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、英国におけるOpen Justiceの概要と、かの地におけるウェブ公開及び訴訟関係人の情報保護の概要について調査検討を行い、一定の検討結果が得られたため、上記のように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度における検討結果につき、日本民事訴訟法学会大会において報告をし、その概要を活字にする予定である。そのうえで、当初予定に従い、米国法の検討についても着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、当初予定していた海外学会参加が実施できなかったことによる。次年度以降の学会参加を模索するが、コロナ禍及びウクライナ情勢を鑑みると、実施の見通しは立たない。場合によっては、学会参加による調査を文献調査に切り替え、関連文献の購入に充てることも考えたい。
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