研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、嫡出推定制度の再検討にある。本研究では、従来の戸籍実務及び判例の展開と学説、そして令和4年民法改正に至る立法論議を分析の対象とし、戸籍制度と民法の実親子制度の関連性を検討して、無戸籍者問題への対応の方向性を明らかにした。とりわけ、推定の及ばない子に係る判例とこれに先行する戸籍実務の分析から、否認潜脱及び772条不適用の可能性の理論的課題を析出した。
民法
本研究の学術的意義は、戸籍先例・判例実務に基礎を持つ推定の及ばない子法理及び民法実親子規定を戸籍制度の実体的基礎の観点から包括し、嫡出推定制度の理論的課題を明らかにしたこと、及び、無戸籍者問題への対応策として、推定の及ばない子法理の射程を再検討し、あわせて、令和4年改正過程でも検討された出生届の段階で嫡出推定規定の適用外を認める方策について理論的・政策的考察を加え、将来の立法可能性を検討したことにある。