研究実績の概要 |
2023年度においても、(1)文献調査、(2)論文執筆、(3)研究報告を基軸として研究を遂行した。 契約各論に関する研究としては、2023年9月21日、フランス・ヴァランシエンヌ大学において、フランス法、ベルギー法、日本法の比較に関するシンポジウムにおいて報告をする機会を得て、各国の改正動向をめぐる意見交換を行うことができた(Table round les contrats speciaux, la preuve et les biens ; former le droit civil : Belgique, France, Japon)。この報告は、日本法における債権法改正(2017年)の成果を概観することを主たる目的とするものであったが、報告においては、フランス・ベルギーにおける契約各論の改正動向との対応を意識しつつ、日本法の特徴を伝えることに意を用いた。その成果は、Revue des Contrats誌に掲載され、フランスにおいて公表される予定である。 文献調査に基づく研究としては、役務提供型契約の特徴を明らかにするために、役務給付(「労務」を目的とする給付)の概念について考察した。役務給付は、人の行為を媒介して価値を創造することを特徴とするが、このことが契約に関する法的規律においてどのように反映されるかを、フランス法における学説状況をも参照しつつ考察した。この点に関する研究の進捗状況は、主要な概念を整理するという中間的な成果を得るにとどまっているが、その内容をもとに論文を執筆し(2024年度に刊行予定)、後続を予定する研究の基礎とすることとした。 そのほか、契約法につき、別途「研究発表」欄に記載する数編の小稿を執筆・公表した。
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