研究実績の概要 |
2021年度はドイツの現行法の研究および日本法の研究を主に行った。 ドイツ法の研究に関しては、研究代表者のこれまでの研究成果を踏まえつつ、ドイツ民法典の保証について研究を深めた。ドイツにおける保証は日本のそれと類似しているといえる。ドイツ法において、保証人は保証契約により、第三者の債権者に対し第三者の債務の履行について保証する義務を負う。保証人のすべての財産が責任の対象である。主債務者は保証契約に関与しないのが通例である附従性が認められており、主債務の発生、存在、および範囲に依存する。また、保証人の責任に関しての補充性が認められている。保証人の給付による主債務の消滅の効果は生じない。主債務は法定移転の方法で保証人に移転する(BGB774条1項)。場合によっては、法定移転が生じない場合がある(債権の譲渡禁止にあたる場合)。保証人の求償権は、委任契約(BGB 662条)、有償事務処理契約(BGB 675条)、事務管理(BGB 677条)等に基礎を置く(以上につき、Dieckmann,Der Derivativregress des Buergen gegen den Hauptschuldner im englischen und deutschen Recht,2003およびHawellek, Die persoenliche Surrogation,2010等の文献を参照)。 日本法については研究代表者のこれまでの研究成果を踏まえつつ、判例法理を検討した。また、有力学説、民法制定当時の文献も参照し、民法(債権法)改正過程における議論を改めて検討した。 比較法的分析で得られた知見を基礎にして、弁済による代位制度のあり方について考察した。
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