研究課題/領域番号 |
21K01266
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
村井 麻衣子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (80375518)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 著作権法 / 知的財産法 / 図書館 / 図書館情報学 / 権利制限 / 著作権法改正 / 公衆送信サービス |
研究実績の概要 |
本研究は、図書館関係の著作権の制限規定である著作権法31条の見直しにかかる令和3年著作権法改正の動向を踏まえ、図書館資料のオンライン活用に向けた著作権法の解釈・立法のあり方を検討することを目的とするものである。また、図書館資料のオンライン活用に向けた著作権法上の具体的な課題の検討を通じて、より大きな視点から、デジタル化やネットワーク化が進展した現代における望ましい著作権法のあり方を提示することも目的とする。 令和3著作権法改正により、①国立国会図書館が絶版等資料を個人向けにインターネット送信すること、②調査研究を行う利用者の求めに応じ、図書館等が図書館資料の原則として一部分を公衆送信(インターネット上の送信等)することが可能となった。 ②図書館等による図書館資料の公衆送信(公衆送信サービス)については、令和5年6月に改正法が施行され、その直前に関係者協議会によるガイドラインが公表された。本年度は主にこの公衆送信サービスをめぐる動向を調査し、「令和3年著作権法改正による図書館等の公衆送信サービスについて」(コピライト掲載)と題する論文にまとめた。また、「デジタルネットワーク時代の著作権法 -未来の図書館員の意識改革のために」(『図書館員の未来カリキュラム』所収)では、図書館と著作権法に関する問題意識について総括した。 改正法の施行により、著作権法上、図書館等は公衆送信サービスを行うことが可能となったものの、2024年5月の時点で、補償金管理団体であるSARLIB(サーリブ)の受入態勢が整っておらず、サービスを実施できない状況にあると思われる(SARLIB「特定図書館登録・利用報告受付開始の延期について」<https://www.sarlib.or.jp/>)。今後の動向を注視したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各図書館等の活動に関わる機会を得ることができ、改正後の動向を把握する作業を進めることができた。また、これまでの研究成果の一部を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、図書館公衆送信サービスに関する実施状況等の動向に留意しながら、図書館関係の著作権制限規定に関する法解釈や立法のあり方、残された課題、運用のあり方等について検討を進める。次年度が本研究課題の最終年度に当たるため、本研究の総括を行うとともに、今後のさらなる研究の展開について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの未使用分の積み残しがあったため(新型コロナウィルス感染症流行の影響によるもの)、次年度使用額が生じた。次年度の物品費、旅費等に充当する。
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