本研究は、排水賦課金制度をめぐるドイツの改革論議を参照することにより、環境保全手法としての環境賦課金の法的位置付けについて考察したものである。本研究では、全研究期間を通じて主に次の3点について文献の調査・検討を実施した。 第一に、ドイツにおいて排水賦課金制度の本格的な改革を、いずれ近いうちには検討されなければならない喫緊の課題へと押し上げている諸要因が、来たるべき排水賦課金制度の改革に対してどのような影響を及ぼすかについて、調査・検討を進めた。具体的には、①EUの水枠組指令の採択と、②ドイツの連邦制度改革が、今後の排水賦課金制度の改革においてどのように作用しうるかを調査・検討した。 第二に、排水賦課金制度の改革論議の全体像、そして今日的様相を、広く全般的に把握するための調査・検討を進めた。排水賦課金制度の改革論議の契機を提供するためにドイツ連邦環境庁の委託先研究会が公表した鑑定意見書「排水賦課金の改革:更に発展すべき規律の選択肢、シナリオおよび影響」について、更に詳細な分析・検討を加えるとともに、近時の研究動向のフォローアップを行った。 第三に、全体としての水域保全の法システムの中において、排水賦課金制度の改革論議が進められていることの意義や課題、今後の展望について検討を進めた。水管理法が定める規制的手法と排水賦課金法の規範構造が、今次の排水賦課金制度の改革を通じていかなる変容を遂げ、そして全体としての水域保全の法システムはどのようなものとして再構成されていくのかを調査・検討した。 これら文献の調査・検討の結果を公表すべく、最終年度においては調査・検討の継続とともに成果のとりまとめを図った。
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