研究課題/領域番号 |
21K01270
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
船越 資晶 京都大学, 法学研究科, 教授 (70362548)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 批判法学 / ポストモダニズム / 法曹論 / 司法政治学 |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の研究を実施した。 第1に、現代的な法曹像を構想するための基礎的作業として、わが国の法社会学において蓄積されてきた弁護士役割論(プロフェッション・モデル/ビジネス・モデル/関係志向的モデル)について再検討を行った。 第2に、現代的な法曹像の構想を理論的に正当化するための基礎的作業として、古典的マルクス主義からポストモダニズム(ポスト・マルクス主義および闘技民主主義)に至る法社会理論の史的展開について再検討を行った。 第3に、現代裁判は富の分配とアイデンティティの承認が争われる政策論争のフォーラムであるとする、本研究の基本構想をより強固なものとすべく、ダンカン・ケネディのヘイル/フーコー論について検討し、その成果を論文「分配分析の原型―戦争モデルの法理解」にまとめた(『法学論叢』191巻1号掲載予定)。その意義は以下のとおり。現代的な法的思考スタイルはロバート・ヘイルのリアリズム法学に由来する分配分析であるとする、上記構想の前提をなすテーゼについて、改めて系統的な説明・正当化がなされた。また、ミシェル・フーコーの構築主義的な主体理解を法学に導入する理路が確認されるとともに、その権力論は、本来であれば、戦争モデルに基づく法理解に帰着しなければならなかったことが示された。以上の成果は、現代法曹論に対して強固な理論的基盤を提供するのみならず、アメリカ法学史(リアリズム法学)研究および「フーコーと法」研究にも寄与するものであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、現代的な法曹像の構想とその理論的正当化に向けて、本年度は以下の成果を挙げることができた。 第1に、わが国の法社会学において蓄積されてきた弁護士役割論について再検討を行うことにより、本研究の記述面での一般性を高めることができた。 第2に、古典的マルクス主義からポストモダニズム(ポスト・マルクス主義および闘技民主主義)に至る法社会理論の史的展開について再検討を行うことにより、本研究の理論面での一般性を高めることができた。 第3に、ダンカン・ケネディのヘイル/フーコー論について検討することにより、本研究の前提となるテーゼ(「分配分析としての法的思考」および「政策論争のフォーラムとしての裁判過程」)に対してより強固な理論的基盤を提供するとともに、その射程を拡張することができた(アメリカ法学史研究および「フーコーと法」研究への寄与)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、現代的な法曹像の構想とその理論的正当化に向けて、本年度は、先行研究の再検討を中心とする基礎的作業を実施するとともに、本研究の前提となるテーゼについて研究成果を公表することができたので、次年度以降は、現代法曹論の具体的内容について、順次研究成果を公表することを目指したい。
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