研究課題/領域番号 |
21K01274
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小川 明子 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (90530593)
|
研究分担者 |
末宗 達行 金城学院大学, 生活環境学部, 講師 (80822254)
高林 龍 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90277765)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 追及権 / WIPO / 追及権の正当化根拠 |
研究実績の概要 |
追及権の日本法への導入を考えるとき、これまで、各国でどのような形で導入されてきたかの再検討が必要となる。2021年度は、本研究の土台となる背景についての検討を行った。 研究代表者小川明子は、コロナ禍で1年間延期されていた著作権法学会での報告の機会を得、2021年5月22日に「日本版追及権導入の可能性」をテーマに報告を行った。本報告では、追及権の成立から現在の状況に至るまでの沿革について述べている。現在、追及権の議論は、世界所有権機構(WIPO)の著作権等常設委員会(SCCR)を中心として行われている。SCCRの任命した専門家によるタスクフォースが、導入に係る論点と追及権に関する正当化事由について報告書を出しており、本講演では、この分析及び日本で導入すべき理由付けについて述べた。研究代表者は、本報告をもとに、著作権法学会発行の「著作権研究」誌に、「追及権の正当化根拠ー日本版追及権導入の可能性ー」を執筆した。本誌は、2022年4月に発行予定となる。 研究協力者末宗達行は、イギリス法の研究を担当している。2021年10月には、山口大学国際総合科学部及び知的財産センター共催の知的財産判例セミナーにおいて、「付随対象著作物の利用に関する権利制限~応用美術の論点に照らして~」をテーマに、日本法とイギリス法を比較の上、応用美術の論点からの講演を行った。論文としては、「応用美術の『写り込み』をめぐる一考察―イギリス法との比較を通じた、著作権法30条の2の解釈の検討―」(1)」及び「同(2・完)」が『早稲田法学』誌97巻4号等に掲載が決定しており、2022年7月以降に順次刊行予定となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費の初年度において、著作権法学会での報告を行うことができた。これによって、これまでの追及権に係る沿革と現状を、同学会参加者の間で共有することができたと言える。 コロナ禍のため、イギリス担当においても、オーストラリア担当においても、海外出張は2年目以降に延期しているため、「おおむね順調に進展」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
オーストラリア追及権制度についての基礎研究は、2021年の学会発表である程度進んでいる。今後、ファーストセールドクトリンと追及権との関係性についての検討を深めていくことを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度、国内出張及び海外出張を予定していた。しかし、コロナウィルス感染リスクに鑑み、国内移動は避けて、オンラインでの会議等に切り替えたため、移動費用が掛からなかった。海外については、出国制限があったため、次年度以降に遅らせることとした。そのため、計上していた費用の使用が先送りとなった。
|