研究課題/領域番号 |
21K01274
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小川 明子 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (90530593)
|
研究分担者 |
末宗 達行 金城学院大学, 生活環境学部, 講師 (80822254)
高林 龍 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90277765)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 追及権 / WIPO / 追及権の正当化根拠 / 美術の著作物 / デザイン |
研究実績の概要 |
「著作権法制度と追及権の整合性」という研究課題の土台を固めることを目的とした研究を2021年度に行った。これに続き、2022年度は、本研究課題の中でも、「美術をめぐる著作権の保護」に絞った研究が行われた。 高林龍研究分担者の古希記念に合わせた書籍「知的財産法学の新たな地平ー高林龍先生古希記念論文集」が発行され、研究代表者は「金魚電話ボックス事件と美術の創作性」を、末宗達行研究分担者は「図面等に描かれたデザインと著作権保護をめぐる一考察」を、それぞれ分担執筆した。論文としては、末宗達行研究分担者は「早稲田法学」誌に「応用美術の「写り込み」をめぐる一考察」を2回に分けて連載した(第97巻第4号pp1-41、第98巻第1号pp1-46)。また、末宗達行研究分担者は、山口大学知的財産センター主催「第1回アートと知的財産セミナー」において、『図面等に描かれたデザインと著作権保護―「アートと知財」の一断面として―』をテーマに講演を行った。特に応用美術やデザインといった分野における著作権保護についての基礎研究が行われた。また、2023年4月には、山口大学知的財産センター主催「第2回アートと知的財産セミナー」において、研究代表者が「追及権の現状ー日本版追及権導入の可能性」をテーマとした講演を行っている。世界知的所有権機構(WIPO)の著作権常設委員会(SCCR)3月におこなわれたSCCRの議論の内容および、Sam Ricketson教授によるTOOLKIT解説も含めた講演となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で行った、本研究の土台となる背景の研究に続き、二年目は、著作権法上の応用美術やデザインといった、美術周りの保護に係る検討が行われたといえる。研究内容は充実しているものの、コロナ禍が完全に払しょくされていない中、英国、豪州ともに海外出張を3年目以降に延期しているため、「おおむね順調に進展」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年3月に行われたWIPOのSCCRでは、Sam Ricketson教授による、追及権導入に係るTOOLKITと称される研究成果が発表されている。未導入国が導入する際に、どのような点を考慮すべきかといった観点からの検討が行われている。これまでも日本国内での導入に際しての試案が制作されているなか、本TOOLKITの分析を行うことが重要である。 加えて、延期されている海外調査についても慎重に検討を進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、海外出張を次年度以降に延期している。そのため、渡航費用が残ってしまっている。コロナが5類になったため、渡航機会を見出して、使用していきたい。
|