研究課題/領域番号 |
21K01276
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
成原 慧 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40647715)
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研究分担者 |
平山 賢太郎 九州大学, 法学研究院, 准教授 (20376396)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プラットフォーム / 情報法 / 経済法 / 表現の自由 / 個人情報 / プライバシー / シェアリングエコノミー / アーキテクチャ |
研究実績の概要 |
本研究は、プラットフォームをめぐる情報法の理論体系を構築し、プラットフォームに関する制度設計の枠組みを提示することを目的とする。そのために、本年度は、以下のように研究を行った。 (1)プラットフォームをめぐる情報法に関する問題を体系的に検討し、問題の所在を整理した論文を執筆するとともに、この論文の内容をもとに開催された座談会において民事法、経済法、知的財産法など関連分野の研究者からフィードバックを得ることにより、本研究においてプラットフォームをめぐる情報法理論を構築する上で前提となる基本的な視点と知見を獲得した。 (2)研究代表者の成原および研究分担者の平山らが飲食予約プラットフォームを通じた個人データの収集・利用に伴う法的問題について共著で論文を執筆することにより、情報法や経済法の観点からプラットフォームによるデータの取扱いに関する法的問題について学際的な研究を行った。 (3)日米欧の関連する法制度、判例、自主規制を検討することにより、ヘイトスピーチ対策におけるプラットフォーム事業者の役割と責任を整理するとともに、政府がプラットフォーム事業者に対して規制を行うに当たって表現の自由や通信の秘密との関係で留意すべき問題を明らかにした。 (4)人工知能(AI)によるマイノリティ等への不当な差別を防止するに当たってプラットフォーム事業者が留意すべき事項を明らかにするとともに、AIやデータによる差別を防止するためのプラットフォーム事業者に対する欧米の規制動向をレビューした。 (5)プラットフォーム事業者が情報流通の媒介者として負うべき民事責任を損害賠償責任と応答責任に区別した上で、ソーシャルメディア上での誹謗中傷の深刻化など今日の情況を踏まえ、媒介者の損害賠償責任の制限のあり方を再検討するとともに、発信者情報開示および削除の場面における媒介者の応答責任の内容とその限界を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の影響により国内外の出張等は制限されたが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度の研究成果を踏まえ、可能な範囲で海外でのインタビュー調査や文献調査を行うことにより、プラットフォームをめぐる情報法に関する問題について、プラットフォーム上を流通する偽情報など違法有害情報への対応、プラットフォームが収集・利用するデータの取扱い、プラットフォームの公正・透明な設計・運用に関する問題を中心に研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により国内外の出張が制限されことなどから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、海外出張費等として使用する予定である。
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