研究課題/領域番号 |
21K01279
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
草地 未紀 駿河台大学, 法学部, 教授 (80365006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高齢消費者被害 / 市民後見人 / 高齢消費者 / 消費者安全確保地域協議会 / 見守りネットワーク / 消費者被害救済 / 成年後見制度 / 消費者行政 |
研究実績の概要 |
本研究の3年目であるが、高齢者関連の施設が研究対象であるため、COVID-19の影響を考えて今年度も予定していたインタビュー調査の実施は見送り、それらを用いない研究に切り替えた。 そこで、昨年度から、本研究に関連する新たなテーマを設定した。ここまでの研究は、高齢消費者被害の発見と救済の担い手として、消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)に関する研究をおこなってきたが、そのネットワークの担い手として活躍してもらうことが期待できるであろう、「市民後見人」に着目した。 こちらは、さまざまな文献に当たるとともに、これまで研究者本人が埼玉県飯能市における審議会委員としての経験を活かした研究をおこなった。論文「高齢消費者被害救済における市民後見人の役割について」を執筆し、田村耕一・堀田親臣・町田余理子編『民事法改革の現代的課題―鳥谷部茂先生・伊藤浩先生古稀記念』(信山社、2023年、招待あり)に公表した。 本論文は、これまでの研究者本人の高齢消費者被害救済に関する研究を簡単にまとめたうえで、市民後見人の概要や現状についての先行研究を紹介すると同時に、埼玉県飯能市のシステムを詳細に紹介した。そのうえで、市民後見人制度に関する現在の問題点も指摘し、今後検討すべき課題を模索した。 また、当初執筆予定であった拙稿「消費者安全確保地域協議会による高齢消費者被害の防止(1)」(駿河台法学33巻2号)の続編として想定していたインタビュー調査は実行できていないが、その前提となる現状をまとめたものとして、論文「見守りネットワークと消費者行政」(都市問題115巻2号、依頼あり)を公表した。本論文は、全国で先進的な取り組みをおこなう各自治体の見守りネットワークの実態を紹介するものであり、これから見守りネットワークの構築・運営に取り組む予定の自治体へ示唆を与える内容とすることができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で、インタビュー調査などがおこなえなかったため。 学会や研究会への参加はできるようになってきたとはいえ、まだまだ他の研究者との意見交換も思うようにおこなえなかった。当初予定していた、ゲストスピーカーの招聘も困難であった。ひとりよがりな研究とならないよう、他の研究者の意見を聴くことのできる機会を、今後はより多く儲けたい。 なお、当初の研究内容のメインテーマについての研究は遅れているが、サブテーマを設定したことで、傍論となるかもしれないが、新しい視点を持つことができている点は、本研究を通じた大きな収穫であったと思う。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長していただいたため、本年度までに実施できていない、消費者安全確保地域協議会に関するインタビュー調査や、この分野に詳しい研究者との研究会などを進めることは、引き続き、努力したい。 また、昨年度から、新たに取り組んだ市民後見人というテーマについて、昨年公表の論文では、市民後見人制度の概要をまとめ、市民後見人による見守り活動への期待と問題点を挙げることにとどまったため、こちらに関する研究をさらに進めたい。 その方法として、すでに活動実績のある市民後見人にインタビュー調査やアンケート調査をおこない、活動するうえでどのような問題があるのか、市民という特性を活かしてどのような活動をしているのかなど、市民後見制度や、高齢者の見守り活動が、今後、超高齢社会を迎えるわが国において持続可能な制度として運用していけるよう、事例の紹介と分析をおこない、問題を指摘していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が遅れているため、1年間、研究期間を延長したため。 研究に必要な物品の購入や出張費に充てたいと考えている。
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