研究課題/領域番号 |
21K01280
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
藤田 真樹 駒澤大学, 法曹養成研究科, 准教授 (80619172)
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研究分担者 |
吉田 友紀 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (70759547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダイバシティー / 取締役会 / 多様化 / 割当制度 / クウォータ / コーポレート・ガバナンス / 企業統治 / 企業価値 |
研究実績の概要 |
近年、欧州において上場企業を対象として、罰則をともなう割当制度を導入し、女性を中心とする過小評価グループから一定数の役員の選任を義務付けようとする取組みが見られる。他方、米国においては、連邦レベルでは、このような割当制度を採用せず、事業報告書の開示や業界の自主規制に委ねるのみであった。しかし、2018年以降、カリフォルニア州は同州に主たる事業所を置く上場会社に対し、女性を中心とする過小評価グループから一定数の取締役の選任を義務付ける州会社法の改正を行った。他方、連邦レベルでは、1934年連邦証券取引所法を改正し、多様性諮問グループを設置し、発行者に多様性に関する詳細な情報の提出を義務付けることを目的とする「多様性を通じた企業統治改革法案」が提出されている。米国の取組みは、経済的に強い結びつきを有する、わが国の上場企業の役員構成の多様化に関する取組へと波及する可能性がある。 本研究では、①女性を中心とする過小評価グループの取締役会への割当制度を米国で最初に導入したカリフォルニア州を中心とする州会社法、役員構成多様化へ向けた連邦証券取引所法の開示規定の改正の背景と目的、②役員構成の多様化が、多様な意見の反映や企業価値の増加に影響するか、影響する場合は、どのような因果関係によるものかを法と経済学の見地から実証分析のみならず理論分析を行い、③その課題と議論に焦点をあて、法的・経済学的な見地から検討した上で、わが国の政策へ向けた提言を行うことを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、①女性を中心とする過小評価グループの取締役会への割当制度を米国で最初に導入したカリフォルニア州を中心とする州会社法、役員構成多様化へ向けた連邦証券取引所法の開示規定の改正の背景と目的、②役員構成の多様化が、多様な意見の反映や企業価値の増加に影響するか、影響する場合は、どのような因果関係によるものかを法と経済学の見地から実証分析のみならず理論分析を行い、③その課題と議論に焦点をあてたものである。 2021年度は、カリフォルニア州の割当制度に関する法令・文献についての文献の調査することにより、会社法の見地からカリフォルニア州改正会社法の立法趣旨、遵守状況等について検討し(藤田)、カリフォルニア州の改正会社法の適用対象となる会社の法人情報開示報告書、既存の統計データ等を文献調査することにより、法と経済学の見地から株価、ROA、ROE等、企業価値の増加に与える影響について検討(吉田)する予定であったが、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、カリフォルニア州法が適用される会社に対してメールによるアンケート調査、オンラインで入手困難な資料の現地調査、弁護士への意見聴取等を行い、調査結果を基に、米国の取締役会の多様化に関の課題と議論について、法学、経済学の見地から検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に購入を予定していた文献等が、学内のデータ・システムの利用を通じて入手することが可能となったものが一部あった。 コロナ渦において学会報告がオンラインで開催されたため、旅費がかからなかった。 これらの費用については、米国の現地調査の際の旅費として計上する予定である。
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