研究実績の概要 |
本年度は、米国における聖域都市の政治的背景とその実態について各種報道資料や公開されている行政・司法資料、政治学、社会学、地理学の先行研究などを通じて調査を行った。今年度はトランプ政権下で聖域都市と連邦政府の間で展開した連邦訴訟の展開とその帰結に対する時系列的な分析を行った。また以前にサンフランシスコ市政府(2017年3月)、ニューヨーク市政府(2018年3月)、シアトル市政府(2019年3月)、ボストン市政府(2020年3月)で行ったインタビュー調査の結果をその後の訴訟展開なども踏まえた上で分析し、聖域都市下の移民行政の実態について比較研究を行った。特に聖域都市として2017年以来調査を続けてきたサンフランシスコ市とニューヨーク市は、聖域都市への補助金を停止することを命じたトランプ政権の大統領令を巡る訴訟で、バイデン政権に変わったことにより連邦司法省が訴えを取り下げたため、2021年3月に最終的に勝訴したため、今年度中に決着がついた事例として分析することができた。本年度の研究成果の一部は、Masaharu YASUOKA. 2022. “Do sanctuary cities protect unauthorised immigrants?: Intergovernmental disputes between the Trump administration and sanctuary cities over immigration policies,“ In Kazunari SAKAI and Noemi LANNA, eds., Migration Governance in Asia: A Multi-Level Analysis. (Abingdon, Oxon, UK: Routledge)として公刊した。
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