• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

Public Service Motivationの重層的実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01296
研究機関九州大学

研究代表者

嶋田 暁文  九州大学, 法学研究院, 教授 (00380650)

研究分担者 田井 浩人  九州大学, 法学研究院, 専門研究員 (30878236)
金井 利之  東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40214423)
林 嶺那  法政大学, 法学部, 准教授 (60846236)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードPSM / モチベーション / 自治体職員 / 地方分権 / 職務意識 / NPM / 経済的合理性 / 公共の利益
研究実績の概要

本年度の主な研究活動としては、第1に、熊本市、佐賀市、久留米市、大分市、福岡市に勤務する若手の自治体職員を対象に、フォーカス・グループ・インタビューを行ったことである。その記録を文字起こししたものは、公刊してはいないが、PSMに関する基礎資料として重要な価値を有する。第2に、海外のPSM研究の最新動向のフォローを行った。中でも特筆すべきは、O’Leary, C.(2022)Public Service Motivation? Rethinking What Motivates Public Actors, (Policy Press)を取り扱ったことである。それによれば、公務員にとって重要なのは、「公共の利益増進のために働くことが大事であり、自分はそういう人間なのだ」という自らの価値観・アイデンティティが確認されることによる自己表出的効用なのだという。仮にこれが公務員の実像だとすれば、公務員のPSMが高いという結果が出たとしても、自己表出的効用に陶酔しているだけかもしれず、PSM研究の前提が崩れる。こうした画期的な研究を押さえられたことは非常に有意義であった。
本年度の主たる成果としては、論文として、嶋田暁文「小規模自治体の『小規模性』と職員のモチベーション」『ガバナンス』2022年8月号、嶋田暁文「分権改革・自治体職員の働き方・住民参加~三つの連関に着目して~」『あいち分権通信』2022年12月号、田井浩人「マネジメントの観点から考える自治体職員のモチベーション―Public Service Motivation研究からの示唆―」『自治大からの情報発信』27号、田井浩人「自治体新人職員の組織適応課題と対処方策―自治体における組織社会化の一側面」『自治総研』2022年9月号などがある。
いずれも立ち遅れている日本におけるPSM研究を進展させたという意義を有する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究2年目における本年においては、以下の三つの作業を行う予定であった。
第1に、「諸外国で行われたPSMの実証研究の結果」を体系的に整理するとともに、国ごとの制度的差異を踏まえる形で、「世界の中での日本の特徴」を明らかにするという「国際比較研究」の作業を行うことである。第2に、「日本の自治体間における職員の平均的なPSMの高低を規定している組織的要因」を明らかにすることである。第3に、「PSMは職員個人レベルにおいていかに知覚され、それが個人の職務経験とどのように結びついているのか?」を明らかにするためにフォーカス・グループ・インタビューを行うことである。
第2、第3の作業を行うことはできたが、コロナ禍の影響で第1の作業はできなかった。
また、1年目に行う予定であったアンケート調査についても、“コロナ禍と衆議院選挙(2021年10月31日)や参議院選挙(2022年7月11日)、統一地方選挙(2023年4月9日、23日)への対応に追われているため、アンケート調査への協力は当面難しい”という理由で、今年度も実施ができなかった。

今後の研究の推進方策

まず、懸案のアンケート調査については、選挙が一区切りしたことで、自治労島根県本部、自治労長崎県本部、自治労福井県本部のご協力を得られることになった。それゆえ、これについては着々と実施していきたい。
また、周知のとおり、2023年3月13日以降、マスクの着用は、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となった。これにより、社会の雰囲気が一変し、外界との接触に対する抵抗感も減退したことから、ヒアリング調査も実施可能になってきたものと考えている。

次年度使用額が生じた理由

アンケート調査が実施できなかったため、次年度のアンケート調査、ヒアリング調査を実施するための費用に充てる。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (11件) (うちオープンアクセス 5件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 曲げ(られた)島の自治2023

    • 著者名/発表者名
      金井利之
    • 雑誌名

      日本の進路・地方議員版

      巻: 97号 ページ: 10-13

  • [雑誌論文] 小規模自治体の『小規模性』と職員のモチベーション2022

    • 著者名/発表者名
      嶋田暁文
    • 雑誌名

      ガバナンス

      巻: 2022年8月号 ページ: 26-28

  • [雑誌論文] 分権改革・自治体職員の働き方・住民参加~三つの連関に着目して~2022

    • 著者名/発表者名
      嶋田暁文
    • 雑誌名

      あいち分権通信

      巻: 2022年12月号 ページ: 1-9

  • [雑誌論文] 公契約条例をめぐる多面的検討~諸論点の体系的考察~2022

    • 著者名/発表者名
      嶋田暁文
    • 雑誌名

      地方自治ふくおか

      巻: 77号 ページ: 57-96

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 公共施設マネジメントに求められる基本的思考―「延床面積総量縮減=公共施設の廃止」という発想からの脱却2022

    • 著者名/発表者名
      嶋田暁文
    • 雑誌名

      地方自治ふくおか

      巻: 76号 ページ: 35-77

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] マネジメントの観点から考える自治体職員のモチベーション―Public Service Motivation研究からの示唆―2022

    • 著者名/発表者名
      田井浩人
    • 雑誌名

      自治大からの情報発信

      巻: 27号 ページ: 1-4

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 自治体新人職員の組織適応課題と対処方策―自治体における組織社会化の一側面2022

    • 著者名/発表者名
      田井浩人
    • 雑誌名

      自治総研

      巻: 527号 ページ: 70-97

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 自治体における職員採用のあり方に関する一考察ー採用の「募集モデル」に対する批判的検討ー2022

    • 著者名/発表者名
      田井浩人
    • 雑誌名

      都市とガバナンス

      巻: 38号 ページ: 92-100

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 海外における公共部門の人事に関わるデータの整備と利活用2022

    • 著者名/発表者名
      林嶺那
    • 雑誌名

      地方公務員月報

      巻: 715号 ページ: 2-19

  • [雑誌論文] 自治の<体質>の過去と現在と未来2022

    • 著者名/発表者名
      金井利之
    • 雑誌名

      自治実務セミナー

      巻: 2022年12月号 ページ: 8-10

  • [雑誌論文] 侵略戦争と自治2022

    • 著者名/発表者名
      金井利之
    • 雑誌名

      北海道自治研究

      巻: 2022年8月号 ページ: 2-15

  • [学会発表] 公共サービス配給の意義と限界2022

    • 著者名/発表者名
      金井利之
    • 学会等名
      第50回日本救急学会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Affect and Cognition in NIMBYism in the Case of Social Acceptance of High-Level Waste Disposal Site in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Reona Hayashi
    • 学会等名
      the 2022 Eastern Regional Organization for Public Administration
    • 国際学会
  • [学会発表] 自治体ゲーミフィケーションの現状・展望・課題2022

    • 著者名/発表者名
      田井浩人
    • 学会等名
      第36回自治体学会
  • [図書] ゼロから自治体を創ったらどうなるか?: 元村長 宮田正馗が語る大潟村のあゆみ2023

    • 著者名/発表者名
      宮田正馗(解説:嶋田暁文)
    • 総ページ数
      183
    • 出版者
      公職研

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi