研究課題/領域番号 |
21K01298
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
堀江 孝司 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70347392)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダーと政治 / 保守政治 / 女性議員 / 議員行動 / 立場選択 |
研究実績の概要 |
2021年度は、研究期間の1年目ということで、本研究課題に取り組む上での準備期間であり、対象となる保守系女性議員らの言説を収集・分析することを中心的な課題とし、合わせて分析枠組みの検討に取り組んだ。具体的には、国会会議録、書籍、雑誌記事、新聞記事、選挙公報その他から、保守系女性議員のジェンダー関連イシューに関する発言などを収集・分類するとともに、それを解釈する枠組みの構築を目指して、関連の研究を読んでいるところである。 年度の後半に、本年度(6月)に日本比較政治学会の分科会「議会・議員はジェンダー・イシューをどう扱っているのか」で報告することが決まったので、現在そのペーパーを執筆中である。この報告論文を土台として、本研究課題により本格的に取り組む論文を執筆する予定である。 2021年度の研究としては、以下のものが、この課題に関連するといえる。まず、本研究課題は保守・右派の女性議員の言説と行動を分析するものであるが、その前提として、近年の保守化・右傾化の研究を以前から継続しており、その成果の一部として、大学の紀要に「『人気取りの政治』-日本の国会における『ポピュリズム』の用法と批判の論理」を執筆・掲載した(『人文学報』518巻3号、2022年3月、41-71頁)。これは、今日、政治学でも関心が高まっている右翼ポピュリズムへの関心に対応し、日本語ではそれがどのような含意で用いられてきたのかについて、国会会議録を用いて検討した研究であるが、本研究テーマとも関心・手法ともに共通するところがある。 なお、本テーマとの関連では他に、『サイゾー』2021年12月号の特集「高市早苗の本性をフェミ的視点で暴く!」に取材協力している(34~37頁)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともと本研究期間中の2年目に、一定の成果として紀要論文を執筆することを考えていたが、それに向けて資料収集が進んでいることと、その前提として本年度の6月に日本比較政治学会で報告をするため、既に元となる論文の執筆に事実上、入っているからである。 他方、資料の探索が一定程度進むに従い、いくつか当初の構想からずれが生じている面もある。それは、ジェンダーをめぐる保守系議員のバックラッシュ言説が、予想よりも収集が困難で、マスメディア上でそうした発言をするのは、かなり少数の特定の議員に偏っていることが明らかになってきたということがある。議員連盟への所属などで、一定の情報は確認できるが、今後はさらに選挙区レベルでのローカルな情報の収集がさらに求められる。そのための作業は、今年度の比較政治学会報告論文執筆後に着手することにあんる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、大きく二つの目標を設定している。第一は、来月の報告に向けて現在、執筆中の日本比較政治学会の報告論文を元に、年度内により範囲を広げて収集した資料に基づいて、保守系女性議員がジェンダーに関連する諸テーマについて、どのようにその立場を選択し、表明してきたのかについての論考をまとめる。第二は、最終年度となる来年度に、そのことをより理論的な観点から再構成し、可能であれば英語のジャーナルに投稿する。 具体的な作業としては、少数の特定の議員については、多くの情報が集まっているが、一般化・理論化する上では、発言が特定の議員に偏り過ぎていて、より中心的でない議員についての情報が不足している。この問題の解決に向け、よりローカルな情報収集を、今年度の後半に集中的に行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料収集のための出張を見込んで、いくらか旅費を残しておいたが、年度末が近づく中で、出張が難しくなり、2年目以降に出張を延期したため。
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