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2023 年度 実施状況報告書

金正日政権期における朝鮮労働党の支配:新資料と新証言による接近

研究課題

研究課題/領域番号 21K01302
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

礒崎 敦仁  慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (40453534)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード北朝鮮
研究実績の概要

本研究では、北朝鮮の支配政党である朝鮮労働党大会が一度も開催されず、「党の機能が麻痺した」と評されてきた金正日政権期を中心にその国内政治を検証している。2023年度は、金正恩政権期に入ってから発刊された資料が金正日政権をいかに評価しているかも含めて検証を進めた。
北朝鮮政治研究において入手可能な資料が多様化し個別研究が急速に蓄積され、その体制を比較政治学の土俵で論じうる余地は相対的に大きなものとなった。金正日政権は支配者の自然死という形で終焉を迎えていることからも、スルタン支配型及び「分断型」といった類型化は北朝鮮体制についても有効ではないかと考えられる。
北朝鮮体制は、冷戦終結直後に大きな危機に直面した。ソ連・東欧社会主義体制崩壊に伴う国際的孤立、それに起因する未曾有のエネルギー難、食糧難は配給制度の機能不全をもたらし、大量の脱北者を発生させた。
これらが金正日政権にとって第一の危機であったとすれば、第二の危機は、支配者である金正日が2008年夏に突然の病に倒れたことである。その時点では後継者の存在が明示されておらず、権力の空白が体制の行方を不透明なものにすると考えられた。金正日が二つの危機への対応を誤まれば、体制を「崩壊」に追いやった可能性もあったが、結果的にはいずれの危機も乗り切っている。最終年度に向け、これら体制長期化の要因を中心に論文執筆を進めた。研究成果の一部は、共著『最新版北朝鮮入門』や『アジアの独裁と「建国の父」』などに反映させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

円安・物価高の影響が非常に大きく当初の予定通り海外調査を実施できなかったが、資料精査は概ね順調に進展したため。

今後の研究の推進方策

引き続き資料精査を進め、研究成果として金正日政権期の北朝鮮国内政治の特徴を明示する論考を執筆する。

次年度使用額が生じた理由

海外調査を実施できなかったため次年度使用額が生じたが、資料調査や意見聴取を目的とした国内外出張や図書の購入などで2024年度に使用する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 北朝鮮「体制永続化」に向けた政策変更2023

    • 著者名/発表者名
      礒崎敦仁
    • 雑誌名

      外交

      巻: 84 ページ: 118-123

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 北朝鮮問題をとりまく日越協力の可能性(ベトナム語)2023

    • 著者名/発表者名
      礒崎敦仁
    • 学会等名
      日越関係50周年:過去、現在、そして未来
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 北朝鮮のインバウンド政策:金正日政権から金正恩政権へ2023

    • 著者名/発表者名
      礒崎敦仁
    • 学会等名
      日本国際観光学会第27回全国大会
  • [学会発表] 冷戦期におけるベトナムのインバウンド2023

    • 著者名/発表者名
      礒崎敦仁
    • 学会等名
      東南アジア学会第105回研究大会
  • [図書] アジアの独裁と「建国の父」2024

    • 著者名/発表者名
      根本敬、粕谷祐子
    • 総ページ数
      340
    • 出版者
      彩流社
    • ISBN
      9784779129544

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公開日: 2024-12-25  

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