研究課題/領域番号 |
21K01307
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
木村 俊介 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (30708186)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水道事業 / 広域化 / 民営化 / 市町村間協力 / 共同処理 / 民間活力 / PFI / 基礎的自治体 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは,「我が国の水道事業の民間的経営又は広域化はどこまで進められるのか」というものであり,効率的経営手法である広域化と民間的経営について,行政学上の政策手段の観点から検証を行うこととしている。その中で,2021年度は,次に掲げる研究実績を達成した。第1に,2021年度は当該研究の初年度であり,基礎的資料の収集確保を行った。広域化については,全県単位の広域化の有効性に係る検証を行う。この点について香川県及び広島県への取材を通じその取組に係る資料を入手・確保した。この調査を通じ,人件費及び資本費をいかに効果的に縮減に結び付けていくかが取組の鍵となることを確認することができた。 第2に,2021年度は,我が国の事例を素材として諸外国との研究交流を図るため,次に掲げる活動を行った。論文(英文)‘Challenges of Japanese Water Governance’(明治大学紀要)の執筆(2022年6月刊行)や,特別講演(国外)“Sustainable water supply”,IIAS(国際行政学会)総会発表を行う予定である(同年6月)。また,次に掲げる特別講演(国内)を行った。①「公営企業の現状と課題」公営企業連絡協議会主催,②「自治体間の広域連携-その進展と課題」鹿島平和研究所主催,2022年1月,③「水道事業の現状と課題」明治大学主催。 第3に,地方政府の改革に係る研究交流を視野に入れ,我が国の地方行政の枠組みに関する論稿の著述及び講演を行った。①書籍(共著)‘The MIC and the Reform of Local Administration’(2022年夏刊行),②“Pandemic and Change of Japanese Local Administration”アジア行政学会総会(AAPA,2021年10月)における発表。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究計画は,民間的経営及び完全広域化のそれぞれについて,行政投資に係る投入・産出の観点からの水道事業改革の全体像を俯瞰できる資料確保を行うというものである。 これらの点について,具体的に以下の活動を行った。 ①民間的経営;文献収集・分析を行う。仏国及び独国における民間的経営手法に係る文献調査を行った。 ②完全広域化;全体の調査の基礎となる文献の収集・分析を行うとともに,現地調査として,香川県広域水道企業団(2017年度に移行済)及び広島県経営総務部(2025年度の移行を準備中)について取材調査を行った。 また,前述のとおり,水道事業における経営改革に係る研究交流を外国研究者と行うため,英文の著作執筆及び英語講演を行ったところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,コロナ禍による研究活動の制約も見込まれるが,基本的には以下の調査を進めていく方針である。 まず,調査としては,民間的経営に関し,独国又は仏国を対象とし,人口減少地域における公営水道事業者等に対し事業状況について取材調査を行う。また,完全広域化については,国内(香川県及び広島県)に関する調査結果をまとめるとともに,仏国の広域行政組織における水道事業の財務状況に関する取材調査を行う。 次に,水道事業の広域化・民営化に係る展望について,欧州の国際学会において発表を行い,海外の研究者との意見交換を踏まえて研究を遂行できるよう努める。
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