研究課題/領域番号 |
21K01307
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
木村 俊介 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (30708186)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 一元的広域化 / 人口減少社会 / 水道事業 / 事業統合 / 企業団 / 水道料金 / 設備投資 / 内部留保 |
研究実績の概要 |
我が国における水道事業の超広域化の財政的効果を分析するため,香川県及び広島県の資料を収集かつ分析し,分析結果を論文としてとりまとめ,下記の雑誌において公表を行った。「広域連携~人口減少社会を見据えて~」『研究紀要 No26(令和5年3月号)』大阪府市町村振興協会、2023年,63-85頁。なお,当該論稿は,明治大学学術成果リポジトリに掲載する予定である。また、国際比較研究を進めていくため、別途英文で下記のワーキングペーパーを作成し、明治大学学術成果リポジトリを通じて公表した。 'The possibility of wide-area cooperation -A study of unified wide-area waterworks management-' https://meiji.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=17482&item_no=1&page_id=13&block_id=21 フランス国及びドイツ国の水道事業担当部局に対して取材調査を行う際に,当該資料を活用して相互理解に努める予定である。 2023年度は,自治体国際化協会の協力も受けつつ,日本の水道事業の分析を踏まえ,フランス国及びドイツ国の水道事業の状況と課題について取材調査及び文献調査による研究を進める予定である。特に、民営化から再公営化を行った地方政府がフランス国及びドイツ国共に存在するので、取材調査を行い比較も試みつつ考察を行うことや,フランス国で官民連携の手法として普及しているアフェルマージュについて取材を基に分析を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響があり,2021年度及び2022年度は国内出張が極めて困難であったため,香川県及び広島県を出張し現地調査を行う予定であったが断念せざるを得なかった。 このため,両県担当局に電話取材や電子媒体での資料提供を求め,結果的には満足することができる財務関係資料等を提供していただくことができた。 また,2023年度の4月~9月の間,明治大学のサバティカル制度を活用し、フランス国リール大学において在外研究のために滞在している。リール大学は地方行政制度の研究が盛んであり,同大学図書館に豊富な関係文献が収蔵されているため,当該文献を活用し文献調査を進める予定である。 さらに,当該滞在期間を活用し,フランス国及びドイツ国の自治体水道事業担当局を訪問し取材調査を行う予定である。 当該調査結果を取りまとめ,結果分析を行う作業は,2024年夏までには完了できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでの研究成果を踏まえ、特に、民営化から再公営化を行った地方政府がフランス国及びドイツ国共に存在するので、取材調査を行い比較も試みつつ考察を行うことや,フランス国で官民連携の手法として普及しているアフェルマージュについて取材を基に分析を行う計画である。具体的には次のような調査を行う計画である。 Ⅰ. フランス国の幾つかの地方政府等を訪問し,取材調査を行う計画である。1パリ市;①料金の抑制,適切な設備投資,及び適切な内部留保資金の蓄積の観点からの民営化していた期間の評価,②公営-民営―再公営の各期間全体を通じての経営状況の推移,③市民の観点からの再度公営化の視点の推進力,④再公営化後の課題等について取材を行う計画である。2 リヨン・メトロポール;①水道事業をコミューン単独ではなくメトロポールで実施するメリット,②アフェルマージュによる効率化と、その前提としての広域化との関係,③アフェルマージュのメリット,④料金抑制実現の要因等について取材を行う予定である。 Ⅱ. ドイツ国のベルリン市を訪問し取材調査を行うことを計画している。 1 民営化していた期間について、料金の抑制,適切な設備投資、適切な内部留保資金の蓄積等の観点からどのように評価できるのか。2再度公営化する主張の推進力は何か、再公営化の評価、再公営化後の水道事業の課題等について取材を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により2022年度は調査のための出張を実施することが極めて困難であったため計画と執行に相違が生じた。 2023年度は、フランス国及びドイツ国において行う取材出張を充実させ計画的に執行したいと考えている。
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