研究課題/領域番号 |
21K01320
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 竜大 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (80632827)
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研究分担者 |
市川 顕 東洋大学, 国際学部, 教授 (80644864)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 広報 / 自治体 |
研究実績の概要 |
広報のエコサイクルを考察するために、マスメディアの影響、その伝え方を検討することは不可避である。昨年度、コロナに関連する影響の大きさについて言及しているものの、コンテンツとしての分析にはメスが入れられていない。そこで、本年度は、全国4紙を対象にして、自治体広報の特徴を検討した。ニュース・バリューの1要素として新規性があるけれども、新聞報道における広報では、地方版における各地のイベントが中心に報じられると想定される。ただしイベントは1つに限らないため、分散される可能性が高まる。これに対して、各紙が言及しやすい事柄は、「県内企業・実施説明・設置」や「事業・開始・サポート」、「市民・必要・情報」、「地域・取り組み・活動」、「今後・ウェブサイトシステム・動向」などが対応分析から見出される。それ以外にも、コロナに関連したふるさと納税や自治体ごとの緊急事態宣言の扱い、コロナ感染・登録システム、子供を含めた災害時における危機とSNS、(コロナの影響など)広報の背景や取り組み理由、イベントの概況・支援(キャラクター、特産品、マスク配布)、情報発信の仕方や発信者の生活スタイル(移住)、障害者や外国人への対応、接種関連、人口減にまつわる取り組みのリスク、雇用、(福島沖大地震に関連した)被災者や企業の報知、自治体職員の奮闘、各種募集などの記事特徴がみられ、どのように広報に関する記事が構成されやすいかをイメージさせた。 しかしながら4紙をまとめて分析すると、話題の分割や関係性は十分に整理しきれない部分も分析から浮かんだ。この点をトピックの多様性と判断するには問題がある。対象あるいは抽出語数の設定を調整したとしても、分割の精度には限界があるように見える。この点は、現在の計量的手法の限界なのかを検討を要する点ともいえる。もちろん、質的調査などで得られる整合性の点でも工夫が必要であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Covid-19への対応としてWHOは、緊急事態宣言は取り下げる発表をしたが、これにより日本では(オーバー)インバウンド現象が生じつつあり、Covid-19の期間で忘れてしまったルール、対応のリハビットと定着において別の混乱を生じさせているように思われる。 人工知能の発達により、昨年度から24時間体制でその利用者は一定の回答を求められる環境を得つつあり、世界的な注目も浴びている。もちろん完全な技術は存在しないため、一方で情報の正確さをはじめ今後の学習、改善・改修は必要であろう。他方、観光、医療、災害をはじめ多領域への適用が可能になれば、行政活動・情報への信頼向上にも役立つ可能性がある。とくに、防災・災害情報にとどまらず、意思決定をする際、ひとに合理的な政策に関連する情報を提供できるシステム(構築)は重要である。 これら点は、行政広報の担当者のみならず、自治体経営に直結する部分でもあり、人口減が確実な地域社会にとっては必要なマンパワー、財政リソースを割く必要があるだろう。この注目点を踏まえ、国内外の関連調査を進める必要があり、修正、追加、調整に追われた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、国内外の政府による政策対応に左右されている。次年度は、下記の事柄を踏めて、研究を進める。アフターコロナと自治体広報に関する変化や回帰についての認識、広報対応における人工知能の利用とリスクの認識が昨年度加わった状況変化である。この変化は政策情報にも大きな影響を及ぼす可能性が高い。なぜなら、便利な情報提供システムは定式化された情報提供にとどまらず、学習の仕方により誤情報の発信源にもなりかねないためである。この点を一定の政策領域を対象にして検討することは、直接間接的に政策・広報情報の検討にも貢献するはずである。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外の情勢に左右されてきた本研究である。なんとかこれまで以上に研究活動ができる環境が整いつつある。それらを受けて、日韓におけるアンケート調査の具体的な計画と実施、データ処理、ヒアリングの継続が予定されている。できるだけ、有益な結果を得たいと考えているが、COVID-19の変異や新種ウィルスの発生、再度パンデミック化した際には、別の研究推進方法を検討する必要もある。これについては、状況と予算を踏まえて、対応したい。
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