研究課題/領域番号 |
21K01325
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
長野 基 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (50367140)
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研究分担者 |
坂野 達郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (40196077) [辞退]
坂井 亮太 中央学院大学, 法学部, 講師 (20735386)
朴 堯星 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (10583205)
大崎 裕子 立教大学, 社会学部, 特任准教授 (10825897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 市民参加 / ミニ・パブリックス / ローカル・ガバナンス / 官僚組織文化 / 熟議民主主義 |
研究実績の概要 |
本研究は住民登録データ等からの無作為抽出・招聘により住民の社会的構成を代表させた少人数の会議体を組織して政府・自治体の政策・事業に関する議論を行う「ミニ・パブリックス」型市民参加が日本の自治体でどのように定着・応用(土着化)され、いかなる政策的インパクトを与えたかを解明することを期す。 2022年度は、前年度に引き続き、島嶼部を除く東京都内自治体(23区・30市町村)に対して各自治体Webサイトを中心にインターネット調査より、総合計画策定や行政評価等のおける無作為抽出・招聘型市民参加の取り組みの情報を収集し、2021年度末時点を対象にした取組状況調査報告書をとりまとめた(調査対象自治体へは同報告書を送付報告している)。 第2に無作為抽出型市民参加の特徴的な実践が確認された神奈川県川崎市・茅ヶ崎市、埼玉県和光市・吉川市の各担当者へのヒアリング調査を実施した。 第3に国際比較を通じた東京圏自治体の取り組みの相対化を図るために韓国ソウル首都圏自治体(ソウル市・京畿道地域)におけるミニ・パブリックス型市民参加について、元ソウル特別市葛藤調整担当官・洪修呈氏、全北大学行政学科副教授・河東賢氏へのオンラインヒアリング調査を実施した。 以上を通じて、東京圏自治体が実践する無作為抽出・招聘に基づく市民参加の広がりの特徴を確認することができた。その成果は『計画行政』(日本計画行政学会)、『都市問題』(都市問題 後藤・安田記念東京都市研究所)掲載論文や日本でミニ・パブリックス研究に携わる実務家、研究者が集う「日本ミニ・パブリックス研究フォーラム」での報告、さらには国際学術ワークショップ(DemocracyR&D,Asia/Pacific deliberative democracy learning call)等にて発信された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミニ・パブリックス型市民参加事例の収集・データベース化については、東京都内自治体(23区・30市町村)の2021年度末時点を対象にした取組状況調査報告書をとりまとめ、調査対象自治体へ報告することができた。 実務者インタビュー調査として神奈川県内2自治体、埼玉県内2自治体への調査(オンラインヒアリング3件、現地訪問1件)を行うことができた。 国際比較研究(韓国ソウル首都圏自治体調査)では当初予定の現地訪問は新型コロナウィルス感染症問題から実施できなかったがソウル市役所元幹部職員ならびに韓国葛藤学会の専門家へのオンラインヒアリング調査を実施することができた。 ミニ・パブリックス型市民参加事例の収集・データベース化や実務者インタビュー調査等からの成果は国内学会誌や国際学術ワークショップにおいて報告すると共に市民向け講演企画においても発信ことができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「ミニ・パブリックス」型市民参加事例の収集・データベース化:前年度までに実施した事例調査の成果を踏まえ、東京圏自治体での事例の継続的収集とサーベイ結果のデータベース化を行う。 (2)実務者インタビュー調査(継続):2022年度に引き続きインタビュー調査を行う。 (3)韓国調査:東京圏自治体の取り組みの国際比較のために2022年度の韓国ソウル市役所元幹部職員オンラインヒアリング調査等の知見を基に韓国ソウル首都圏自治体におけるミニ・パブリックス型市民参加事例への訪問調査を行う。 (4)研究成果の取りまとめ:研究の取りまとめ及び最新の理論的知見の摂取のために各分野の講師を招聘した研究会(社会心理学等の専門家を招聘しての講演を含む)を実施する。 (5)成果発信:本研究の成果を①国内研究誌での発表や、②海外学会(シンポジウム)報告等による国際な発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は(1)インタビュー調査対象者への謝金や記録作成(反訳)費用、交通費、(2)理論研究のための書籍等購入費・複写費ならびに専門家謝金・記録作成(反訳)費用、(3)韓国訪問調査のための渡航・滞在費、協力者謝金、記録作成(反訳)費用、(5)成果報告のための学会参加・報告旅費、の発生が見込まれる。 使用計画については、(1)インタビュー調査では2022年度から引き続き、無作為抽出・招聘型の市民参加に取り組む自治体担当部局(企画部門)等の実務者への調査を行う。支援事業者など民間主体への調査では謝金支弁が必要となる。(2)理論研究では専門家(社会心理学等)を招聘しての研究会を開催するに当たっての謝金と記録作成(反訳)費用が中心的な支出となる。(3)韓国訪問調査での事例地区選定・現地訪問に当たっては韓国国立全北大学「公共葛藤と地域イノベーション研究所」との協働を図る。そのための渡航・滞在費、並びに現地通訳謝金を支弁する。(4)成果報告の学会・シンポジウム参加については新型コロナウィルス問題によりオンライン形式での参加となる可能性も否定できないが、基本的には対面式での参加を想定し、そのための旅費(渡航・滞在費)を支弁するものとする。
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