研究課題/領域番号 |
21K01350
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
玉井 雅隆 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60707462)
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研究分担者 |
スルトノフ ミルゾサイド 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00761016)
山本 武彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (10210535)
庄司 真理子 敬愛大学, 国際学部, 教授 (20192627)
宮脇 昇 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50289336)
玉井 良尚 立命館大学, 政策科学部, 授業担当講師 (50892676)
臼井 実稲子 駒沢女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80257279)
奥迫 元 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80386557)
稲垣 文昭 秋田大学, 国際資源学研究科, 講師 (80468545)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経済制裁 / 国際関係論 / 国際連合 / OSCE / ウクライナ紛争 / ロシア / 禁輸 / NATO |
研究実績の概要 |
当該年度においては、研究分担者間において二度研究会を実施し、これまでの既に実施してきた『「民」の経済制裁の発生要因に関する研究』(2013年度~2016年度)、『経済制裁の問題点と課題―対抗制裁の罠』(2017年度~2019年度)における研究成果の再確認を行い、新たな経済制裁研究における認識統合のスタートダッシュともいえる研究を行った。 即ち、これまでの経済制裁を経済制裁を時間軸・空間軸・アクター軸の観点からとらえなおすことを目的とする。即ち、先行研究などでは等閑視される傾向にあった経済制裁の性質自体の「変容」に関し、制裁を包括的枠組としてとらえることとし、そのダイナミクスに関して検討を行い、「制裁」の全体像を提示し、従来の研究の陥穽を補い、超越するものである。本研究はこれまでの制裁研究を受け継ぎ、さらに発展させていくものである。その為に「時間」「空間」「アクター」の三点を軸とし、分析を進めていく旨、研究者間で認識の統一を図り再確認した、 特に今年二月にはウクライナ情勢の変化に伴い、ロシアとNATO諸国や日本などの間で制裁が相互に実施され、これまでの経済制裁を巡る国際政治情勢とは位相を異にする新たな経済制裁がなされるようになってきた。従って、本研究においてもその新たな情勢に対処すると同時に、更に研究を深化させるべく、研究会を実施した。この研究報告の成果に関しては、2022年度にウェビナーを開催することで、社会還元を図るものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の研究成果に関しては、これまでの科研である『「民」の経済制裁の発生要因に関する研究』(2013年度~2016年度)、『経済制裁の問題点と課題―対抗制裁の罠』(2017年度~2019年度)の再確認を実施し、これまでの経済制裁研究の蓄積の共通認識の形成を図った。 また同時に、2022年2月のウクライナ情勢の急変に伴い、経済制裁自体もこれまでの経済制裁とは異なる新たな局面を迎えることになった。即ち、国連常任理事国であり、本来であれば国際の平和と安定に責任を有するはずのロシアが、ウクライナに対し侵略を行ったことにより、従来では考えられなかった常任理事国への本格的かつ大規模な類を見ない経済制裁を実施することになった。 これまでもロシアにはクリミア半島を巡る一方的措置に対し、一定程度の経済制裁を実施してきたが、今回は欧州、アメリカ、日本のみならず世界の多くの国が経済制裁に参加するなど、規模の面において従来とは異なるものとなった。 また、その内容も野菜などの国家に夜禁輸措置のみならず、アップル社などのデジタル産業の撤退など、民による経済制裁も実施されているなど、幅広いアクターによる経済制裁がなされている点において、従来とは異なるものである点が見られる。 この様な点に関し、当該科研においては研究分担者間において新たな情勢に対処すべく、情勢の分析並びに認識の共有を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、ウクライナ情勢の進展並びにそれに伴う経済制裁の変容に関して、アクターなどの経済制裁に関する認識の変化をふまえながら、研究を深化させていくものである。即ち、研究計画書において記した「時間」軸仮説「制裁決定までの「時間」が冷戦期と比較して短くなっている」、「空間」軸仮説「制裁の対象国・被対象国は地域によって差異が生じている」、「アクター」軸】仮説「制裁の対象がアクターによって変容・多様化している」に関し、ウクライナ情勢を踏まえた上で、前年度に確認した経済制裁の研究成果を更に深度化し、新たな情勢を踏まえた上で上記三点の仮説に関してその立証を各人が分担に伴う実施するものである。なお、具体的な分担としては以下の通りである。
総括:奥迫、1.時間軸:本多(人権侵害への協調制裁と国連経済制裁)、庄司(スマート・サンクションからスマート・アクションへ)、2.空間軸:臼井(外交手段としての経済制裁)、宮脇(ウクライナ戦争で生まれた第三世代の「民の経済制裁」)、山本(対ロシア経済制裁をめぐる地戦略的意義)、玉井良尚(経済制裁は水の安全保障にとっていかなる変数となりうるのか)、玉井雅隆(民主主義と「制裁」―オーストリア・シュッセル政権、ハンガリー・オルバン政権と制裁の限界)、3.アクター軸:稲垣(ウズベキスタンによる天然ガスを用いた制裁)、スルトノフ(The side effects of sanctions on Russia for Central Asian countries)以上のテーマに関し調査・研究・分析を行うものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の継続により、対面ではなくZoomの会議が継続して増加していることにより、交通費などが想定以上に使用されなかったため。 繰り越し分に関しては、最終年度の日本語による研究成果の出版に充てる予定である。
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