研究課題/領域番号 |
21K01351
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
三船 恵美 駒澤大学, 法学部, 教授 (40312110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 香港 / カラー革命 / 米中関係 / 国際秩序再編 / 一国二制度 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究計画〈1〉香港問題をめぐる米中関係のアメリカ側の分析、〈2〉米中対立関係の枠組みの分析、〈3〉「カラー革命」への危機認識について中露の比較考察、以上3点のうち、〈1〉について、論文[「香港の国家安全維持法の制定と米中関係」『駒澤法学』21-3、2022年2月、pp.74~112]において、〈2〉については、多領域での覇権競争の実態を分析し、単著『米中覇権競争と日本』(勁草書房、2021年9月)、日本国際政治学会度研究大会部会9(10月30日)「メガリージョンの再編成」における研究報告(「中国からみた一帯一路とインド太平洋」)、平和安全保障研究所秋季安全保障ウェビナー「経済安全保障と米中関係」でのパネル報告、論文「中国にとっての『一帯一路』と『インド太平洋』『アジア太平洋』」(戦略研究学会編『戦略研究』30巻(2022年3月、pp.21~39)において、〈3〉については、上記の「香港の国家安全維持法の制定と米中関係」、『米中覇権競争と日本』ならびに、評論「ウクライナ侵攻と米中関係」(霞山会『東亜』5月号、pp.52~53)などで公表した。また、中露が共有する「カラー革命」についての危機認識については、『東亜』7月号、『東亜』8月号において掲載予定である。米中関係の全体像について、渡邊啓貴教授編著『国際政治の基礎知識』(新版、2022年秋刊行予定)において掲載予定である。 香港の現状分析については、RIPS『アジアの安全保障』で香港を担当し、2022年に刊行予定である。また、欧米の多様性や包摂性を許容する「デモクラシー」と国家による支配のための集団主義の政治理念である「中国的民主」の違いについての分析を評論「『中国的民主』と民主主義の対立―欧米のデモクラシーとは異なる中国的民主―」(政策研究フォーラム編『改革者』3月号、pp.18-21)において論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに研究が進んでいると評価できる。 本研究の遂行には、〈1〉中国中央と香港、〈2〉米中関係、〈3〉中露のカラー革命に対する比較考察の3つの軸での研究が必要になる。これら3つの軸からの研究を包括することによって、アメリカ政治のプロパーによる香港問題の分析とは異なる成果が得られることになる。 〈1〉については、平和安全保障研究所RIPS『アジアの安全保障』において香港の動向を長年担当する機会をいただいていることで、期間内で香港の動向を分析することができている。また、2021年の香港において、中国共産党政権に忠誠を誓う「愛国者」に限って出馬を認める選挙制度が制定されるなど「香港の中国化」の制度化、行政長官選の投票権を持つ選挙委員会の人事、民主派の一掃などの大きな動きをめぐる中国と香港の資料も多かったことから、研究を進めることができた。 〈2〉については、2021年度は国際政治学会の全国研究大会における研究報告や平和安全保障研究所におけるパネル報告の機会をいただけたことで、米中を取り巻く地政学と地経学についての分析について、しっかりと期間内に取り組むことができた。 〈3〉については、ロシアの「カラー革命」についてのアメリカとイギリスでの英語文献が2021年後半大いに増えたことが本研究を進める上で大いに役立った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、以下2点について重点的に研究を行っていく。 〈1〉中国中央は2022年5月に「アメリカがカラー革命を中国で推し進める組織」としてNational Endowment for Democracy(NED、国家民主基金会)を「第2CIA」を位置づけて、様々な声明やレポートを公表している。そこで、2022年度の研究では、NEDに対する中国中央の評価や対応、NEDと香港の関係についての研究を多角的に行っていくことが必要になる。2019~2022年におけるNEDの香港関連文献を再検討し、新たな資料を収集していき、分析を進めたい。これが全体の2/3の分析となる予定である。 〈2〉2022年7月1日に行政長官へ就任する李家超が選挙の公約において香港独自の国家安全条例の制定に取り組む考えを示していた。その政治プロセスを分析することが研究全体の1/3となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Windows11が安定してからPCを購入しようと、購入時期を翌年度へ延期しためです。
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