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2022 年度 実施状況報告書

中国の対台湾「平和統一」政策と米中台関係の変動

研究課題

研究課題/領域番号 21K01354
研究機関法政大学

研究代表者

福田 円  法政大学, 法学部, 教授 (10549497)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード中台関係 / 中国外交 / 一つの中国
研究実績の概要

本研究は、主に米国や台湾の公開公文書や中国の公刊史料、関係者の日記やオーラルヒストリーを利用し、米中国交正常化後の中国の対台湾「平和統一」政策と、米中、米台間の交渉内容を紐解き、それらが1980年代以降の米中台関係の構造をどのように変化させたのかを分析するものである。
2022年度は、1970年代を通じて中国・台湾間の外交闘争がどのように展開していったのかについてまとめ、それが米中国交正常化や米華断交、さらに中国側の帰結としては1979年以降の「平和統一」政策の展開にどのように繋がったのかに関する研究を続けた。2021年度に台湾で行った史料調査やインタビューの成果を吟味しつつ、これまで中国、台湾、米国などにて収集した中国共産党の内部史料と照合しながら、1980年代に「平和統一」政策が打ち出された背景を、国際環境や国内政治情勢との連関に注目しながらまとめた。
2022年度は、新たな史料調査を行うことができなかったので、これまでの収集史料をまとめ、各種研究会や学会で報告し、論文発表に向けてブラッシュアップすることに注力した。まず、1970年代を通じて、中国と台湾の間の外交闘争における力関係が徐々に変化し、闘争の担い手や論点も相互に作用しあいながら変化していったことについて、特にアジア太平洋地域での外交闘争に焦点を当てて分析した。また、米中国交正常化のプロセスについては、これまでに収集した史料と先行研究を突き合わせて、蒋経国を中心とする台湾側の対応や米台間の交渉について新たな分析を行い、その経過を学会にて報告した。さらに、こうした研究の副産物として、1970年代に形成された国際社会における「一つの中国」レジーム(「1972年体制」などとも呼ばれている)の今日的意味と問題点に関して、複数の論説文を発表し、講演や学会報告を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度も中国や台湾では、新型コロナウイルス流行による渡航規制や渡航後の隔離規制などが続いたため、中国共産党の内部史料をさらに収集したり、インタビューをさらに進めたりするための海外調査は行えなかった。中国共産党が「平和統一」政策を打ち出した背景である、米中国交正常化の経緯に関する調査は一定程度進み、1970年代を通じた中国・台湾間の外交闘争などについて昨年度に得た知見をまとめることはできたものの、中国側の認識や、共産党内部で「平和統一」政策を打ち出すに至ったプロセスについて、踏み込んだ分析をするには至らなかった。

今後の研究の推進方策

2022年度の終わり頃から、台湾での史料調査はかなり自由に行えるようになった。また、米国への渡航もスムーズにできるようになっている。そこで、2023年度は中国の「平和統一」政策を台湾や米国はどのように受け止めたのかという点に焦点を移し、研究を継続する。「平和統一」政策について台湾の蒋経国政権 が「交渉せず、談判せず、妥協せず」の三不政策で応じたことはよく知られている。しかし、その背景にはどのような認識があり、中国政府から次々となされる 交渉の呼びかけにどのような方法で対応したのかについては、明らかになっていないことも多い。また、米国ではカーター政権からレーガン政権への政権交代があり、対中政策が再検討されるようになった。こうしたプロセスに関する史料を新たに収集したい。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は海外での史料調査をできなかったため、多額の次年度使用額が生じた。2023年度はこれらの史料調査を出来るだけ実現する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 「一つの中国」原則と諸国の「一つの中国」政策のせめぎ合い―歴史的背景と現状2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 雑誌名

      CISTECジャーナル

      巻: 202 ページ: 111-122

  • [雑誌論文] The Xi Jinping Regime’s Maneuvering against Taiwan: Characteristics and Prospects2022

    • 著者名/発表者名
      Madoka Fukuda
    • 雑誌名

      Asia-Pacific Review

      巻: 29 ページ: 79~101

    • DOI

      10.1080/13439006.2022.2105523

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] The characteristics of Xi Jinping’s policy-making on Taiwan affairs: the conflict between institutionalization and centralization2022

    • 著者名/発表者名
      Madoka Fukuda
    • 雑誌名

      Journal of Contemporary East Asia Studies

      巻: 11 ページ: 244~263

    • DOI

      10.1080/24761028.2023.2177094

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「台湾海峡の平和と安定」をめぐる米中台関係と日本-動揺する「1972年体制」の含意2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 雑誌名

      外交

      巻: 74 ページ: 83-89

  • [学会発表] 「72年体制」下における日本の対台湾海峡安全保障政策の歴史的発展2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 学会等名
      国立政治大学台湾日本研究院国際シンポジウム「台日新関係50周年国際論壇」
    • 招待講演
  • [学会発表] 国際秩序の変遷と日台関係2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 学会等名
      日本台湾学会第24回学術大会 公開シンポジウム「日台関係の50年ー日華断交を超えて」
  • [学会発表] 国際秩序としての「1972年体制」と日台関係2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 学会等名
      アジア調査会国際シンポジウム「東アジア国際秩序の来し方行く末-サンフランシスコ平和条約から70年」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「1972 年体制」下的日美安全保障体制与台湾(中国語)2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 学会等名
      上海国際問題研究院国際会議「両岸関係与日本渉台動向」
    • 招待講演
  • [学会発表] 台湾海峡危機後の米台安全保障関係と日本―1995-2000年2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 学会等名
      日本国際政治学会2022年度研究大会、東アジア国際政治史分科会Ⅲ「第三次台湾海峡危機の再検討―日米同盟と台湾関係法への影響」
  • [学会発表] 米中国交正常化と台湾―新たな「台湾問題」のはじまり2022

    • 著者名/発表者名
      福田円
    • 学会等名
      中国現代史研究会研究集会シンポジウム 「ウクライナ戦争が問うアジア冷戦史の現代的意義―中華人民共和国をめぐる国際関係の歴史と現在」
    • 招待講演
  • [図書] 国際秩序が揺らぐとき2023

    • 著者名/発表者名
      森 聡
    • 総ページ数
      211
    • 出版者
      千倉書房
    • ISBN
      9784805112939
  • [図書] 中国は「力」をどう使うのか2023

    • 著者名/発表者名
      加茂具樹、鄭 浩瀾、Macikenaite Vida、土屋貴裕、荒川 雪、内藤寛子、渡邉真理子、増田雅之、飯田将史、福田 円、神保 謙、八塚正晃
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      一藝社
    • ISBN
      9784863592575
  • [図書] UP plus 習近平の中国2022

    • 著者名/発表者名
      川島 真、小嶋 華津子
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130333061
  • [備考] 福田円研究室

    • URL

      https://www.madoka-f.com/

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公開日: 2023-12-25  

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