研究課題/領域番号 |
21K01356
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
青山 瑠妙 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20329022)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中国外交 / パートナーシップ外交 / 同盟 |
研究実績の概要 |
今年度は中国の「パートナーシップ」戦略の変遷プロセスとその特徴を明らかにした。 1990年代初頭、中国で「パートナーシップ外交」の概念が芽生え、2000年代後半から中国政府は積極的に「パートナーシップ・ネットワーク」の構築を推し進めるようになった。さらに習近平体制の下では「グローバルパートナー関係ネットワーク」の概念が提起された。 中国の「パートナーシップ外交」の内容は時代とともに変貌を遂げている。1990年代初頭から、中国政府は精力的に他の国々との間で「パートナーシップ」協定を締結した。1990年代後半ごろから、中国政府は多国間外交を重視するようになり、世界の各地域組織との間で協力枠組みの構築に尽力した。こうした地域組織との間で構築されている様々な協力枠組み(「パートナーシップ・ネットワーク」)を通じて、中国の国際的なプレゼンスが一気に拡大した。 習近平体制で推し進められる一帯一路構想のもとで、「グローバルパートナーシップ関係ネットワーク」の構築が重要な政策課題として浮上した。これまでの「パートナーシップ外交」と異なり、2010年代以降の中国の「グローバルパートナーシップ関係ネットワーク」への取り組みは発展途上国に照準を据え、またハイテク、eコマースなどの領域を重視している。そして中国の国内において、これまでの非同盟政策を改めるべきだという声も浮上しているが、これは「パートナーシップ外交」から「同盟」外交へ転換する可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は中国の「パートナーシップ」戦略の変遷プロセスを明らかにしようとした。先行研究を踏まえ、様々な文献調査を通じて、中国の「パートナーシップ」外交の変遷プロセスのみならず、それぞれの時期の特徴、そして中国の「パートナーシップ外交」の今後の展開の可能性について、ある程度の知見を得ることができた。 そして、中国と各地域機構との間で締結した合意文書に係る資料収集の作業も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は実態と理論の両側面から「パートナーシップ・ネットワーク」の特徴を明らかにする。 実態面では中国と各地域機構との間で締結した合意文書に関するデータベースの構築をさらに精緻化にする。そして抑止における同盟国のコミットメント、信頼性を重視する同盟と比較しつつ、中国の「パートナーシップ外交」の特徴を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により、海外出張による現地調査が不可能となったため
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