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2021 年度 実施状況報告書

国際規範のローカリゼーションにおける地域機構の比較分析―人身売買対策を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 21K01365
研究機関山形大学

研究代表者

中村 文子  山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (80555243)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードアジア / 人身売買 / 性的搾取 / ASEAN / プッシュ・プル要因
研究実績の概要

本研究は、国際規範のローカル地域への伝播(ローカリゼーション)における地域機構の役割を分析するものであり、とくに性的搾取を目的とする人身売買を事例として取り上げ、反人身売買といった国際規範がいかに国家レベルにまで普及し、履行されるのかについて、地域機構に重きを置きながら分析するものである。
2021年度は、主に研究対象となるEU、OAS、ASEANに関連する文献・資料を収集しながら、東南アジアにおける性的搾取を目的とした人身売買について、その実態や傾向、発生する原因(プッシュ・プル要因を用いて)を分析した。アジアにおける人身売買は、とくに貧困地域の人々で、民族の少数者や異端とされる宗教の信仰者など、政治的・経済的に虐げられている人々が被害者となるケースがほとんどである。そのような現状を明らかにすると同時に、日本および東南アジアでの対策について調査した。たとえば、日本の警察庁は、諸外国の国家警察機関と情報共有、捜査共助などの連携を強化しているし、国際協力機構(JICA)では、ASEAN諸国の人身売買対策関係者を日本に招聘たり、ネットワークの強化を図ってきた。また、NGOやNPOといった非国家主体の活動も活発に行われていることも分かった。
さらに、アジアの中でもとくに「人身売買一形態である」として国際社会から痛烈に批判されている日本の技能実習制度についても、同制度の不備や(悪質な送出機関を排除するための)対策など調査した。
これらの研究成果は、『現代アジアとつかむ』所収の「アジアの豊かさと貧しさが引き寄せる人身売買」で発表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画書とおり、2021年度は主に文献を集め、纏める作業を行った。しかし、オンライン上で収集できない資料や、オンライン購入が出来ないために貸出を余儀なくされる文献・資料等については、コロナ禍での行動制限から、十分な(あるいは潤沢な)文献収集が出来ているとは言いがたく、「おおむね順調に進展している」が、コロナ禍での制限がより緩和されれば、より充実した資料を収集することができるだろう。

今後の研究の推進方策

コロナ禍の状況改善・国内外の移動制限緩和を期待しつつ、計画書通りに国内外に積極的にインタビュー調査などをする予定である。とくに、米州機構の調査として、米国(ワシントンD.C.)、メキシコ、チリ、加えてEUの調査として、EU本文のあるベルギーでの現地調査、インタビューを予定している。
さらに、より充実した文献・資料収集も同時に行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

2021年度はコロナ禍の行動自粛・行動制限のため、国内外での現地調査が困難であった。次年度は、状況が改善されていることを期待し、国内外での積極的な現地調査、資料収集、インタビュー調査を実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] アジアの豊かさと貧しさが引き寄せる人身売買2022

    • 著者名/発表者名
      中村文子
    • 雑誌名

      現代アジアをつかむ

      巻: 0 ページ: 100-109

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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