研究課題/領域番号 |
21K01365
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中村 文子 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (80555243)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 人身売買 / 人権規範 / ジェンダー / 地域機構 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、国際規範のローカル地域への伝播(ローカリゼーション)における地域機構の役割を分析するものであり、とくに性的搾取を目的とする人身売買を事例として取り上げ、反人身売買といった国際規範がいかに国内レベルにまで普及し、履行されるのかについて、地域機構の役割に重きを置きながら分析するものである。 2023年度は、2022年度に引き続き、研究対象となるEU、OAS、ASEANに関連する文献・資料を収集した。同時に、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻 にともなって発生している難民・国内避難民の人身売買について、ウクライナの隣国スロバキアで避難民救済に従事しているNGOにインタビュー調査を行い、現地の状況を調査した。同時に、避難民が多く非難しているポーランド、ハンガリー、ルーマニアについても国連機関の報告書等より調査した。EUに加盟しているこれらの国々が、ウクライナからの避難民を受け入れ、彼等の人身売買の危険を回避するように対処していることは、EUの人権規範の効果であると評価する一方で、各国の対応が不十分なところも指摘できる。これらの研究成果は、2023年11月に開催された国際政治学会で報告した。 また、地域機構の役割をめぐる理論的アプローチも展開した。アジアとヨーロッパの地域主義を異なる地域秩序として分類する従来の説明を超越し、たとえば日本とドイツが経済・金融のグローバリゼーションに伴うリスクを軽減することを目的とした規制的地域主義の一形態を体現していることを論じる研究も発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画書とおり、必要な文献・資料は集めており、オンラインによるインタビュー調査も実施しているが、現地調達を余儀なくされる文献・資料収集、インタビュー等については、2024年度に積極的に行なっていく。それを除いては、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2002年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻による避難民および支援活動を展開している国際機関やNGO等への調査をより積極的に実施する(ウクライナ隣国への現地調査を含む)。とくに武力紛争下での人身売買に対して、地域機構(ここではEU)がどのように対処できるのかを含めて調査したい。 同時に、米州機構の人権対策は米国大統領の政策方針に影響を受けるので、2024年の米国大統領選挙を注視し、米州機構の対策の動向も分析したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
832,400円の未使用額については、2023年度に現地調査へ赴くことができなかったことによる。2024年度は現地調査を実施する予定であり、計画通りに使用する予定である。
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