研究課題/領域番号 |
21K01366
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
保城 広至 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00401266)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 政府開発援助 / 国際政治経済 |
研究実績の概要 |
政府開発援助(ODA)を受領する国(レシピエント)の属性と行動は、援助国(ドナー)による援助分配の決定と実施にどのような影響を与えるのか。その疑問を実証的に明らかにすることが、本研究の目的である。2005年に出された「パリ宣言」では、援助の重複を避けるためにドナー間の協調をはかることが奨励された。しかしながら現在までにそのような協調行動は進んでいない。本研究では、なぜ特定のレシピエントに援助が集中するのか、そしてなぜ援助の約束額と供与額が異なるのかを、レシピエントの属性と行動、それに応じたドナーの分配行動によって説明することを試みる。 初年度の目的は、数量データ収集と先行研究サーベイである。前者はすでにDAC約30カ国分のODAデータを収集済みであり、現在記述統計分析を進行中である。さらに中国の援助データを他のDAC諸国と比較可能なようにコンパイルをおこない、日本のデータとの比較を試みた。そこで興味深い発見をしたので、2022年度の日本国際政治学会で発表予定である。 また先行研究のサーベイはすでに関連するジャーナル論文をほとんど網羅したかたちで収集し終えた。現在それらの吸収に努めている。 上記の目的に加えて本年度は、本研究開始前から継続していた、外交訪問がODA分配に与える影響を考察した研究をまとめ、国際ジャーナルに掲載されることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に国際ジャーナルに投稿するという当初の研究計画から見れば、データ収集の終了と分析および先行研究サーベイの途上という現状は、おおむね計画通りだと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は収集したデータの記述統計分析を終了させ、さまざまな仮説を検証する本格的な統計分析に入る予定である。できれば今年度に一本、ペーパーを完成させたいが、より興味深い統計分析結果が出た場合は、さらなる推敲のために翌年度まで時間をかける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は次の2点である。第一に、新型コロナウィルスの状況を考慮して海外出張を断念せざるを得なかった。第二に、申請者個人が資料収集などの単純作業を自ら多くおこなったために、人件費が比較的安価に済んだ。次年度に海外出張が実現するかどうかはコロナに対する各国の規制次第であるが、できるだけ当初の計画通り、海外調査をおこないたい。
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