研究課題/領域番号 |
21K01368
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永田 伸吾 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (00524779)
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研究分担者 |
福海 さやか 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (70524081)
西脇 靖洋 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (40644977)
勝間田 弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40579108)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 領土紛争 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
主権国家間の領土紛争は、ナショナリズムの高揚を伴い先鋭化する傾向がある。これは、身近な事例である尖閣諸島や竹島をめぐる問題をみても明らかである。本研究は、主権国家間の領土紛争においてナショナリズムの顕在化が抑制されるメカニズムを明らかにする。 本研究は、永田(研究代表者)、福海・西脇・勝間田(研究分担者)の4名による共同研究である。それぞれの専門的知見を動員することで、領土紛争研究への学術的インプリケーションに加え、その緩和のための政策的インプリケーションの導出を目指す。 ただし、令和3年度は新型コロナウィルス感染症の世界的な感染拡大により、海外調査の実施が見込めないことから、交付申請書どおり次年度以降の準備期間に充てた。必要に応じ、適宜オンラインミーティング開催したことに加え、次年度以降、各研究者が本格的研究に取り組むための予備的考察の発表のために、東京で対面研究会を2回(11月、3月)実施した。とくに第2回研究会では、領土紛争とナショナリズムの関連性検討指標の暫定的設定に漕ぎつけた。 令和3年度の研究成果(雑誌論文)については、交付申請書に基づき、領土紛争に関する学術的文献の書評を学術媒体に寄稿した。具体的には、永田伸吾「書評:小泉悠著『「帝国」ロシアの地政学:「勢力圏」で読むユーラシア戦略』東京堂出版、2019年)」戦略研究学会編『戦略研究』第29号(2021年10月)、として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題応募段階で、令和3年度は新型コロナウィルス感染症の世界的拡大の影響で、海外現地調査の実施が困難になることが予想された。そのため、交付申請段階で、当該年度は、研究会・ミーティーングを適宜実施することで、研究上の課題抽出・方法の再検討をし、次年度以降、本格的に取り組むための予備的考察に注力する計画を立てた。 このことについては、オンラインミーティングを適宜実施し、東京での対面研究会(2回)を実施したことで、領土紛争とナショナリズムの関連性検討指標の暫定的設定に漕ぎつけるなど、一定の進捗がみられた。 また、研究成果については、交付申請段階で、令和3年度の学会報告等は想定しておらず、予備的考察の一環として、領土紛争に関する学術文献の書評を学術雑誌に寄稿する計画を立てた。これについては、永田が、「書評:小泉悠著『「帝国」ロシアの地政学:「勢力圏」で読むユーラシア戦略』東京堂出版、2019年)」戦略研究学会編『戦略研究』第29号(2021年10月)、として発表した。 以上のように、令和3年度の進捗状況については、計画通り、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度同様に、研究上の課題抽出・方法の再検討、予備的考察、調査報告のために、オンラインミーティングと対面研究会を適宜開催する。また、令和3年度に暫定的に設定した、領土紛争とナショナリズムの関連性検討指標に基づきながら、各研究者が、それぞれの担当に応じてさらなる考察を進める。指標は暫定的なため、必要に応じて適宜修正する。 令和4年度以降は、前年度からの準備を踏まえた上で、海外での実地調査を実施する計画である。実施時期は、夏季(8月~9月)もしくは春季(2月~3月)を予定している。ただし、新型コロナウィルス感染症の拡大状況や現地の治安状況等の理由から実現が難しくなる事態も想定される。その場合は、当該係争地域の当事国の在日大使館等から可能な限り情報を得る予定である。また、竹島等、日本が係争国である領土問題については、当該国内自治体などでの調査を検討している。 研究成果としては、令和3年度に引き続き、予備的考察の一環として、領土紛争関する学術的文献の書評を学術媒体に寄稿を予定している(候補書籍は選定済み)。また、進捗次第であるが、年度内に内外の公式非公式の学会・研究会で報告し、広くフィードバックを得る機会を確保したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者4名のうち、1名の支出が旅費のみとなったことによる。翌年度は当初の予定通り、書籍をはじめとする物品費等に充当する。
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