研究課題/領域番号 |
21K01368
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永田 伸吾 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (00524779)
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研究分担者 |
福海 さやか 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70524081)
西脇 靖洋 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (40644977)
勝間田 弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40579108)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 領土紛争 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
主権国家間の領土紛争は、ナショナリズムの高揚を伴い先鋭化する傾向がある。それでは、領土紛争におけるナショナリズムの顕在化の抑制には、どのような条件が考えられるであろうか。こうした問題意識に基づき、本研究は、領土紛争研究への学術的インプリケーションに加え、領土紛争緩和のための政策的インプリケーションの導出を目指す。 令和5年度は、進捗状況確認と各研究者の次年度以降の研究計画調整のために、東京で対面研究会を2回(8月、3月)実施した。また、令和5年9月に、島根県庁竹島資料室および島根県立図書館で、島根県における竹島をめぐる領土・主権教育の現状について関係者への聞き取りおよび文献調査を実施した。そして、これまで新型コロナウィルス感染症の世界的拡大のため延期していた海外調査についても、令和5年10~12月に、コロンビアで中等教育機関教員や海軍士官を対象に同国における地理教育の概要や国境問題の現状についてインタビューを実施し、令和6年3月には、ポルトガルの国立図書館他で史料館調査を実施した。 令和5年度の研究成果については、島根県での調査研究を、永田伸吾「島根県における領土・主権教育の現状に関する 担当者への聞き取り調査」『北陸大学紀要』第56号(2024年3月)179-188頁、として発表した。次に、海外動向調査については、西脇靖洋「第6章 権威主義体制期ポルトガルにおけるカトリック教会と『準反対派』:フランシスコ・サ・カルネイロの活動を中心として」伊達聖伸・渡辺優編著『カトリック的伝統の再構成』勁草書房(2024年1月)214-239頁、として発表した。また、令和3年度から継続している関連文献の書評等(文献紹介)についても、永田伸吾「石原敬浩著『北極海:世界争奪戦が始まった』(PHP新書、2023年)」『戦略研究』第33号(2023年10月)101頁、として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は、国内自治体調査に加え、これまで新型コロナウィルス感染症の世界的拡大の影響で延期していた海外調査を実施することができた。そのため、昨年度までの研究の遅れをある程度取り戻すことができた。また、令和3年度から着手している「領土紛争とナショナリズムの関連性検討指標」のアップデートを継続中である。 研究成果については、令和3・4年度につづき令和5年度も関連書籍の書評(文献紹介)を学術雑誌に掲載した。令和5年度については、上述のように、国内自治体における領土・主権教育の現状についての現地調査をまとめた論考(調査研究)を学術媒体(大学紀要)に掲載した。また、海外動向については、学術書掲載論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度も、必要に応じて国内外での実地調査を実施する。また、進捗次第であるが、年度内に学会報告や学術論文として研究成果を逐次発表する予定である。さらに新たな試みとして、関連分野の研究者による講演会を開催することを検討している。 本研究課題は令和2年10月申請の計画に基づき実施されている。しかし、令和4年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、本研究課題の目的の1つである政策的インプリケーションの導出を検討する上で、大国間競争の視点が不可欠であることを改めて認識させた。そのための予備的考察の一環として、これまでと同様、大国間競争との関連から領土紛争を扱った学術文献の書評執筆を計画するとともに、在京シンクタンク等開催の関連シンポジウムに参加し情報収集に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に、初年度から新型コロナウィルス感染症の世界的拡大の影響で実施を延長してきた海外調査を本格的に実施した。そのため、令和6年度以降、学会報告・論文発表を本格化する必要がある。令和6年5月時点では、国内学会での報告を申請中である。
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