研究課題/領域番号 |
21K01380
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
廣野 美和 立命館大学, グローバル教養学部, 准教授 (40757762)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中国 / 一帯一路 / 世界秩序 / 国際秩序 / 選挙 / 対中観 / 沿線国 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度の活動として、2年目から開始する現地調査に向けて、概念的・実証的な面の双方から準備を進めながら、出版準備も行なった。 1)概念的には「途上国の中国観」と「中国の世界秩序への影響」についての連関を検討するための分析枠組みの一部の検討を行った。中でも、国際学会での研究報告内で、紛争地における中国観と国際安全保障秩序の関わりを、前研究種目内(17K03606)から得られた実証研究成果も踏まえながら、分析枠組みの一部として提示した。特に「途上国の中国観」の形成のされ方を中心に検討を行い、その形成にあたり中国のどのような関与がどう中国観に関わっているのかという部分に焦点を当てた。具体的には、(i)途上国において、中国を国家のロールモデルとする見方がどの程度影響力を持っているか、(ii)中国からの物理的な支援を通して、途上国における国内安全保障(紛争緩和など)へのアプローチが、どの程度、中国の直接的影響を受けているか、(iii)現地政府とのパートナーシップ協定や国際機関を通した中国の関与などにより途上国政府の正統性がどの程度影響を受けているか、という点を検討した。 2)実証的には6つの事例国それぞれの文脈において、(A)8つの秩序分野に関する中国の関与の実態、(B)各国における中国観が選挙前と後でどのように変化したか、(C) 政権交代後にどのような対中政策変更を行ったか、についての資料収集、文献調査を実施した。 3)一帯一路構想に関する編著(2021年2月刊行)の研究成果を、国内外のセミナーや出版物を通して広く周知した。また、同著書の英語版の出版準備を進めた。本編著内では、本研究につながる実証研究をおこなっただけでなく、中国のさまざまなアクターや途上国の視点から中国の世界秩序への影響を分析するアプローチを採用しており、本研究で行う実地調査に向けた学術的土壌を形成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
調書に記入した研究目的、研究計画に従って、順調に研究を遂行し、研究発表を行うことができた上、一帯一路に関する著書の英語版の出版準備を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
22年度はいよいよ現地調査開始となる。スリランカとネパールの事例研究を、21年度の実績をもとに、現地で進めたい。スリランカについては、2022年5月現在、政情不安・抗議活動が相次いでおり、22年度中の渡航については逐次状況を見極めながら決定したい。ネパールの現地調査は、予定通り実施準備を進めており、国際学会で研究結果を報告予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、最終年度を1年延長した基盤研究(C)(17K03606)において、予定していた南スーダンへの 渡航が不可能になったことで余剰予算が発生した。そこで、当研究費での執行を予定していたデータベース購入とバイアウト費(教員秘書)の多くを、17K03606より執行したため次年度使用額が生じた(データベースは両基盤研究にて使用している)。次年度は、ネパール・スリランカでの現地調査にあたり、現地でのロジ担当のアルバイトを雇用することにより、更にスムーズな現地での研究活動を展開する予定である。
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