研究課題/領域番号 |
21K01380
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
廣野 美和 立命館大学, グローバル教養学部, 教授 (40757762)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中国 |
研究実績の概要 |
2023年度は、本研究課題における事例研究を2件実施した。 (1)2022年11月に総選挙を実施したマレーシア:現地でインタビュー調査を実施し、調査結果を分析した。一つ前の総選挙である2018年11月の総選挙では、中国は融資するマレーシア東海岸鉄道(East Coast Rail Link: ECRL)とナジブ大統領の汚職疑惑が選挙アジェンダと密接に絡んでいた。2018年の総選挙後にマハティール氏が首相に就任して以降、ECRLの一時中止、再検討が行われ、路線の変更等で債務を低くしたのちに、ECRLが再開された。本事例研究では、その後、ECRLは国内の政治力学と経済効果の検討を経てどのような変遷を辿ったか、「中国ファクター」が、18年と22年の選挙それぞれにどのように関連したか、また、2018年の総選挙は、その後5年間で、実際のプロジェクトと対中国観にどのような影響をもたらしたか、という3つの問題について調査・分析を行った。 (2)2023年11月に大統領選挙を実施したモルディブ:現地でインタビュー調査を実施し、調査結果を分析した。モルディブはマレーシアと類似したところがあり、2018年11月の総選挙で、親中派の大統領といわれるヤミーン政権下で建設された「中国モルディブ友好大橋(シナマーレ橋)」と大統領の汚職疑惑が大きな選挙アジェンダとなった。「中国ファクター」が18年と23年の選挙それぞれにどう関連したか、また橋自体はマレーシアのECRLと異なり完成しているため、18年以降の対中観への影響やその後のインドの動きなどを調査した。
加えて、一帯一路構想に関する編著の英語版は査読を通過し、出版準備が継続している。同時に、新書や学術ブログ等の形で研究成果を広く一般に配信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた3件の事例研究のうち、マレーシア・モルディブに関しては、調書に記入した研究目的、研究計画に従って、順調に研究を遂行し、研究発表を行うこと ができた。しかし、パキスタンに関しては、政情不安のため、23年度中の渡航は延期し、24年度中の調査を追求したい。ソロモン諸島は総選挙を24年4月に延期したため、24年度に現地調査を実施する予定である。22年度に実施予定だったスリランカは政情は安定化したが、24年に大統領選挙と国会議員選挙が行われると言われており、24年度後半期に選挙日程を見据えながら研究を行う。 一方で、出版活動やその他学会報告については、一帯一路 に関する著書の英語版の出版準備や社会への広い成果発信等、想定以上の発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、当初予定では事例を比較検討し、中国の世界秩序への影響と域内大国への影響を分析する予定であったが、事例国の政情不安、選挙日程の変更等、さまざまな要因により、24年は事例研究をそのものを実施する年としたい。比較検討は事例研究を進めながら実施するとともに、比較するための分析枠組み明確化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り、ソロモン諸島、パキスタン、スリランカの現地調査を24年度に延期したため。ソロモンは24年度中に現地調査を実施予定。パキスタンは現地の治安状況を見ながら、スリランカは選挙日程を見ながら、24年度中の現地調査を追求する。
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