現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
貸し手側のコミットメントの限界により、借り手と貸し手の関係に非効率性が生じる可能性について、特に借り手が政府であるケースについて理論的に分析したものがJournal of Money, Credit, and Bankingに掲載された(Kobayashi, Nakajima and Takahashi, 2023, “Debt Overhang and Lack of Lender’s Commitment”)。Sannikov (2008)、Di Tella and Sannikov (2021)のモデルを拡張し、ダイナミックなプリンシパル・エージェント問題において、エージェントに資産蓄積を許した場合にfirst-order approachが適用できることを議論した論文” Principal-Agent Problems with Hidden Savings in Continuous Time: Validity of the First-Order Approach”に関して、より一般的な仮定のもとに結果を拡張する作業を行った。Kocherlakota (2004)で分析された最適失業保険のモデルにおいても、類似した手法を用いてfirst-order approachが適用できる可能性について分析を行った。これらの結果を得るために、確率微分方程式(特にforward-backward stochastic differential equations)や偏微分方程式(特にviscosity solution)の理論の適用についても検討を行っている。
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