現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
試行錯誤の調整過程や学習のダイナミクスに関する研究は、前年度末に行われた Nobel Symposium on the 100 Years of Game Theory で発表した論文をさらに拡張整理し、学術書Econometric Society monograph の1章として刊行する作業を進めた。 機械学習を使った人間行動のパターンの研究は、研究代表者が提供してきたオンラインのゲーム理論コース (COURSERA, Welcome to Game Theory) の課題の形で収集した5000人以上のデータを用い、代表的な行動経済学モデルと代表的な機械学習モデルの out of sample prediction error rates を比較した。具体的には、じゃんけんのように「相手に手を読まれないようにするため、ランダムに行動する必要がある」「相手の手を読む必要がある」という環境を実験においてトランプゲームの形で作り出し、そこで人間が実際どう行動するか、そこに何らかのパターンや規則性が見出されるかどうかということを調べた。この研究で得られた知見は、東北大学、大阪大学、New York University Abu Dhabi, Yale, Harvard, MIT, California Institute of Technology での対面研究会および、北京大学、香港科学技術大学のオンライン研究会など多くの研究会で発表し、非常に有益なフィードバックを得て研究を進展させることができた。この結果はワーキングペーパーにひとまずまとめることができた。 また、本年度8月には、ゲーム理論における代表的な国際学会である Game Theory Society の会長 President に選出された。日本人としては初のことであり、大きな成果と見ることができる。
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