研究課題/領域番号 |
21K01406
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
片山 宗親 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20718134)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COVID-19 / SIR-Macro |
研究実績の概要 |
第一に、早稲田大学の浜野正樹教授との共同研究、“Epidemics and Macroeconomic Dynamics”が、TCER Working Paper E-162として公開された。コロナ禍におけるマクロ経済分析は、SIR-Macroモデルを元にして行われてきた。しかしながら、世界各国における複数回の感染拡大の波や、いくつもの変異株の出現、またワクチン接種後にも感染する可能性など、当初の期待通りには終息しない可能性が高いことが徐々に明らかになってきた。 本研究では、感染性ウイルスが恒常的に存在している状態を想定し、SISモデルに基づいた分析を行う枠組みを提案する。このようなアプローチは、これまでの動学的マクロ経済分析で使われてきたフレームワークと親和性が高く、速報性の高い実証分析への応用可能性も期待される。 第二に、Misperceptionを導入したSIR-Macroモデルは、国際比較を行うため、各国データをもとに、モデルパラメータの推計が進んでおり、現時点では計39国についての推定が完了した。本研究は、早稲田大学の浜野正樹教授と久保田荘准教授との共同研究である。 第三に、同様のフレームワークを、日本の都道府県に当てはめ、どのようなmisperceptionの変化が観察されたか、その変化に関する分析を行なっている。本研究は、早稲田大学の浜野正樹教授、Kongphop Wongkaew、慶應義塾大学の大久保敏弘教授との共同研究として進行中である。 最後に、コロナ禍におけるマクロ経済分析を行う研究者同士の交流を促進するため、疫学マクロ研究会を早稲田大学の久保田荘准教授とともに開催した。本研究会は、2021年6月19日(土)にリモート開催で行われ、5名の研究者が30分ずつ研究報告を行い、議論を交わした。報告者を含めのべ21名の研究者が参加し、活発な交流が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で、一本のワーキングペーパーを公開し、残りのプロジェクトに関しても順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
全てのプロジェクトに関し、国際的な学術誌への早期掲載を目指し、論文の執筆・改訂を行う。とりわけ、misperceptionを導入したSIR-Macroモデルは、その構造上、推定に時間がかかる。そのため、効率的に推定を行う方法を考えることが必要となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、海外学会への出張など計画していた旅費への支出が行われなかったため。
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