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2022 年度 実施状況報告書

近代日中両国における「資本主義論争」の生成と展開

研究課題

研究課題/領域番号 21K01411
研究機関新潟大学

研究代表者

武藤 秀太郎  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10612913)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードマルクス主義 / 東アジア
研究実績の概要

2022年度は、2022年4月に著書『島田三郎 ―判決は国民の輿論に在り』をミネルヴァ書房から刊行した。島田は『社会主義概評』(1901)を著すなど、日本に社会主義・マルクス主義を紹介した先駆的な人物として知られる。『社会主義概評』は中国語にも翻訳された。中国に社会主義思想を伝えた最初期の文献である。6月には、前年に東アジア近代史学会の大会でおこなったコメントをまとめ、『東アジア近代史』第26号に寄稿・掲載した。
9月には、明治大学で開かれた国際シンポジウム「東アジア近代法学・関連諸科学ネットワークと人材育成」に参加し、1920-30年代にみられた日本と中国の経済学者の交流について報告をおこなった。その報告内容「中国銀行改革と留日学生」は、2023年3月に明治大学の『大学史紀要』第29号で公表した。
2022年11月には、日本史研究会近現代史部会大会共同研究報告反省会で報告をおこなった。この共同研究報告では、宮崎龍介と高津正道を中心に、1920年代における東アジアの社会問題が論じられた。宮崎と高津は社会主義の洗礼をうけるとともに、積極的に海外へ目を向け、中国人や朝鮮人と交流を交わした。いわば日本資本主義論争の前段階にあたる思想状況について、各研究者との意見交換を通じ、知見をふかめることができた。また、12月には、前年度に福澤諭吉協会土曜セミナーでおこなった研究報告「堀江帰一と張公権」を、『福沢諭吉年鑑』第49号に寄稿・掲載した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究においては、研究対象である中国での資料収集・調査が不可欠である。しかし、昨年度にひきつづき、コロナ・ウイルスによる渡航制限により、中国に出張することがかなわなかった。また、国内の図書館なども、きびしい制限がかされていたために、なかなか利用することが困難であった。
こうした一連の事情のために、当初立てた計画よりも遅れている面がある。その一方で、対面での学会・研究活動が可能となり、研究成果の一端を報告・活字化することができた。とくに、日本史研究会の近現代史部会大会共同研究報告では、本研究テーマと深く関わる研究者と、有益な意見交換を交わすことができた。

今後の研究の推進方策

今後は、国内外の移動・調査は、これまでよりも制限が緩和されることが考えられる故、研究上の遅れを挽回したいと考えている。また、資料収集にあたっては、図書館のILLなどを積極的に利用したり、本研究テーマに関わる研究者との交流をさらに密にしたりすることで、効率的におこなってゆく予定である。
2023年度は、3つの関連学会・国際シンポジウムにおいて本研究テーマについて報告を行う予定である。とくに、2023年8月には、台湾中央研究院との間で国際シンポジウムを計画している。これらの活動を通じ、研究内容をブラッシュアップしてゆき、年度末までには研究成果を学会誌等で活字化したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ・ウイルスの蔓延により、予定していた国外調査をおこなうことができなかった。現時点では、海外渡航制限が緩和されている故、この国外調査に充当したいと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 中国銀行改革と留日学生2023

    • 著者名/発表者名
      武藤 秀太郎
    • 雑誌名

      大学史紀要(明治大学)

      巻: 29 ページ: 86-90

  • [雑誌論文] 「《特集》大戦間期の東アジアにおけるメディア」コメント2022

    • 著者名/発表者名
      武藤 秀太郎
    • 雑誌名

      東アジア近代史

      巻: 26 ページ: 82-88

  • [雑誌論文] 堀江帰一と張公権2022

    • 著者名/発表者名
      武藤 秀太郎
    • 雑誌名

      福沢諭吉年鑑

      巻: 49 ページ: 93-105

  • [学会発表] 中国銀行改革と留日学生2022

    • 著者名/発表者名
      武藤 秀太郎
    • 学会等名
      国際シンポジウム「東アジア近代法学・関連諸科学ネットワークと人材育成」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日本史研究会近現代史部会大会共同研究報告について2022

    • 著者名/発表者名
      武藤 秀太郎
    • 学会等名
      日本史研究会近現代史部会大会共同研究報告反省会
    • 招待講演
  • [図書] 島田三郎2022

    • 著者名/発表者名
      武藤 秀太郎
    • 総ページ数
      338
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      4623093522

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公開日: 2023-12-25  

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