2023年度は、2023年に単著『中国人・朝鮮人の関東大震災 ー共助・虐殺・独立運動』を、慶應義塾大学出版会から刊行した。関東大震災の勃発は、日本および中国でマルクス主義が広く伝播し、学生・労働者から広く支持をうけるようになる大きなきっかけの1つとなった。本著では、コミンテルンが東アジアにおける革命戦略から日本、中国、朝鮮の共産主義組織に資金を提供し、機関誌などの発行を支援していた実態を明らかにした。12月には、都市史学会大会シンポジウム「大災害の記録と記憶」で本書の内容をもとにした報告「東アジアからみた関東大震災」をおこなった。 5月には、日本経済思想史学会第34回全国大会の共通論題「日本経済思想史研究の課題と展望 ―日本経済思想史学会創立 40 年を迎えて」で、「大正デモクラットと経済思想 ー黎明会を中心に」と題した報告をおこなった。その報告内容は、学会誌『日本経済思想史研究』第24号に掲載される予定である。 8月には、日本経済思想史学会と台湾中央研究院の共催でおこなわれた国際シンポジウム「台日國際學術交流會」で「胡適與朝河貫一 」と題した報告を中国語でおこなった。この要旨も『日本経済思想史研究』第24号に掲載予定である。 11月には、東北大学大学院国際文化研究科が主催した国際シンポジウム「中国ナショナリズムと近代日本の知識人たち 李大釗と吉野作造」で、「李大釗と日本の知識人たち」と題した報告をおこなった。また、12月に第10回石橋湛山研究学会で「石橋湛山と中国」と題した報告をおこなった。
|