研究課題/領域番号 |
21K01416
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
大塚 雄太 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (70547439)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ガルヴェ / ドイツ啓蒙 / グーツヘルシャフト / 農民 / 通俗哲学 / 教育 / 流行 / 社会思想 |
研究実績の概要 |
2021年度はC.ガルヴェの社会思想について研究を深化させる予定であった。代表者はこれまで彼の社会思想の主要作品のいくつかを分析してきたが、農民と社会、国家に関する考察に関しては十分に消化しきれていなかった。本年度はこの点について、『農民論』に基づいて集中的に分析を行い、学術論文として公表した。この成果によって、1780年代のガルヴェの現実社会への強い関心を具体的に浮上させることができ、また彼の思想全体における社会思想の重い位置も明らかとなった。それは哲学史的系譜においてガルヴェを評価することの限界を指摘するものでもある。 あわせて、ガルヴェの社会思想と現代との接点を示すべく、かつて分析した流行に関する論考を、タルド、ジンメル、ヴェブレンによる考察と比較対照した。この成果は、社会学を中心に流行論の始点が上述の思想家たちに求められてきたことに一石を投じるものである。ガルヴェの流行論と上述の思想家たちの考察との比較対照から、それらの大きな重なりが見えてきた。このことは、消費社会論の一形態としての流行論が、かなり多くの主要論点を伴って18世紀末にはすでに存在したことを意味する。 周辺領域とのかかわりでは、原田哲史著『19 世紀前半のドイツ経済思想―ドイツ古典派、ロマン主義、フリードリヒ・リスト』の書評論文を執筆した。本研究と分析対象の時代が重なる当該書の意義を論じるにあたって、本研究で得られた知見が援用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は文献研究が基本であったため、コロナ禍の影響を大きく受けることはなく、順調に研究課題を進めることができた。必要な研究文献の入手も滞ることはなく、研究に支障は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究計画にしたがって18世紀末の思想状況について広く分析を行う予定であるが、コロナ禍により当初予定していたドイツへの渡航が可能かどうか、現時点ではわからない。したがって早めかつ可能な限り、必要資料について検討・リストアップを行い、その入手可能性に目処をつけておくようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定されていた研究出張の多くがオンラインに切り替わったことが大きい。現時点では次年度の見通しは十分に立たないが、海外への研究出張を含め計画に沿って使用する。物品費については、必要分を次年度に計画的に回したため支障はない。
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