研究課題/領域番号 |
21K01418
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
宇仁 宏幸 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (90268243)
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研究分担者 |
北川 亘太 関西大学, 経済学部, 准教授 (20759922)
高橋 真悟 東京交通短期大学, 運輸科, 教授 (60726206)
中原 隆幸 阪南大学, 経済学部, 教授 (70264744)
坂口 明義 専修大学, 経済学部, 教授 (90202085)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | J. R. コモンズ / 適正価値 |
研究実績の概要 |
コモンズの理論形成は、第1に、経済学のみならず哲学、倫理学、法学などを含む既存の理論の批判と応用という演繹的方法と、第2に、政府の委員として政策決定に参画した自身の経験から理論を帰納するという方法という、2つの方法により行われている。前者の演繹による理論形成プロセスの解明には、コモンズが批判・応用した理論家たちのテキストと、コモンズ自身が著述したテキストとを比較分析するという研究方法が中心となる。後者の帰納による理論形成プロセスの解明には、コモンズが実際にどのような実践的課題に直面し、どのような議論・判断を行ったかという歴史的事実を解明するという研究方法が中心となる。 本研究の主題である適正価値論に関して、前者の演繹による理論形成プロセスを解明するために、2021年度は、坂口、中原、北川が現代の制度経済学派にあたるレギュラシオン学派とコンバンシオン学派の理論体系とコモンズの理論体系との比較検討を行った。 また、後者の帰納による理論形成プロセスの解明のために、宇仁と高橋は、1900年前後からコモンズがウィスコンシン州の労働政策の立案プロセスに参画する中で、どのような経験と思索を行ったかについて、残された様々な一次資料の収集と分析を行った。 以上のような2021年度の研究で得られた成果は、2022年2月22日にオンラインで行った研究会において共有したうえで、3月27日の進化経済学会大会(オンライン)でのセッションにて、社会に向けて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記したうち、後者の帰納による理論形成プロセスの解明に関しては、当初の計画において、予想したような新たな多くの事実が、2021年度における資料収集と分析を通じて、明らかになっている。それは想定を上回る成果をもたらしていると評価できる。他方、前者の演繹による理論形成プロセスの解明に関しては、コモンズが批判・応用した理論家たちのテキストの分量が多く、2021年度はその解読の段階にとどまり、分析にまで、至っていない。 このように、ばらつきはあるが、両者を総合すると、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で記したうち、後者の帰納による理論形成プロセスの解明に関しては、予想を上回る新たな多くの事実が、2021年度における資料収集と分析を通じて、明らかになっているので、2022年度は、日本語および英語の論文としてまとめ、日本語および英語の専門ジャーナルにおける公表にまでもっていきたい。 他方、前者の演繹による理論形成プロセスの解明に関しては、コモンズが批判・応用した理論家たちのテキストの解読を2022年度内には完了し、その分析の段階にまで進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年2月22日の研究会および3月27日の進化経済学会大会でのセッションは、当初、対面での開催を予定していたが、ともにオンラインでの開催となり、交通費・宿泊費相当分が未使用となったことが主な理由である。2022年度は、研究会および学会発表の回数が、当初計画より増えると考えており、そのための交通費・宿泊費にあてたいと考えている。
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