研究課題/領域番号 |
21K01424
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
根本 二郎 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(経済), 教授 (20180705)
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研究分担者 |
後藤 美香 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50371208)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電気事業の自由化 / 生産性分析 / 効率性分析 |
研究実績の概要 |
本研究はわが国電気事業の自由化プロセスを再評価することを目的として、その始まりから一応の完成を見るまでの全期間のデータを用いて生産性を計測し、生産性の要因分解によって規模の経済性、範囲の経済性、技術進歩率、環境効率性と資源配分の歪みおよび市場支配力の大きさを評価する。 2021年度は小売市場の完全自由化がなされる2015年度までのデータベース構築を行いほぼ終了した。また予備的な分析として、原子力発電が停止する東日本大震災以前の期間のデータによる電気事業9社の全要素生産性を計測し、併せて技術進歩率と規模弾力性(規模の経済性)、マークアップ率を計測した。技術進歩率と規模弾力性はデータから一般には識別できないので、生産関数が定数次同次であることと技術進歩率の変動が生産の変動と独立であることを仮定した。分析結果によれば、自由化プロセスの期間を通じ全体として正の技術進歩率とそれによる生産性改善のトレンドが認められた。またその結果として電気料金の低減傾向が生じたが、その一方で特に2000年以降マークアップ率が上昇しているケースもあった。その場合は限界費用の低下がマークアップ率の上昇を相殺して価格上昇を抑制しており、電気料金の低下が必ずしも自由化の主目的である資源配分の効率化につながっていないケースもあるように見える。 東日本大震災以降、および小売完全自由化以降の期間のデータに関する検討も行った。自由化以降の旧一般電気事業者(9電力)のデータについては、それ以前に比べ利用できる変数が限定されている。このため期間を通じて同じ分析を行うことには無理があり、自由化前後の比較を行うための分析モデル上の工夫について因果推論のモデルを使用する方法も検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度末の段階で非パラメトリックな全要素生産性による分析は、東日本大震災以前のデータについて終了している。続けてデータ包絡分析を用いた分析とパラメトリックな確率フロンティア関数を用いた分析を予定しているが、2021年度中には着手できなかった。 データについては完全自由化以前の2015年度まで拡張することは可能であり、既にほぼ完了している。ただし2015年度までのデータを用いた分析は2021年度中に完了しておく計画であったがやや遅れている。 データを自由化後の期間に延長することについては、自由化後一部得られなくなっているデータをどう補うかを検討している。またデータが得られない場合に完全自由化前後で異なる分析を行い、完全自由化の効果を評価する方法について検討している。
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今後の研究の推進方策 |
完全自由化(2016年度4月)前後の期間で異なるモデルで分析せざるを得なくなった場合の対処として、異なったモデルから得られる成果関連指標の比較の方法を工夫する方向で検討している。この点は、自由化後を処置群、自由化前を対照群として、両群の比較のため自由化前の成果指標を自由化後に外挿するためのモデルを作成する準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は新型コロナ感染症流行二年目であったが、引き続き対策に多大な時間を消費せざるを得なかった。一昨年はほぼすべてリモートであったが昨年度はハイブリッド対応のため新たな環境整備に追われた。この結果、分析に先立つデータセットの整備が完成しておらず、この結果、旅費、研究補助のRA雇用経費、論文の英文校閲費用の他、更新を予定していたPC周辺の設備の整備もできなかった。今年度はこれらを執行して研究を進める。
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