• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

新しい生産性分析によるわが国電力自由化の定量的評価

研究課題

研究課題/領域番号 21K01424
研究機関名古屋大学

研究代表者

根本 二郎  名古屋大学, アジア共創教育研究機構(経済), 教授 (20180705)

研究分担者 後藤 美香  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50371208)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード電気事業の自由化 / 効率性分析 / 生産性分析 / 生産性指数
研究実績の概要

本研究では、わが国電気事業の自由化プロセス全体のパフォーマンスの評価を目的として、1994年度から最近時点までの9電気事業者(旧一般電気事業者)のデータによる生産性分析とその要因分解分析を行う。
2022年度はデータの整備と要因分解分析の方法論の理論的側面について研究した。データについては2016年度以降の期間についてデータベースを構築するとともに、前年度までに完成している2016年度までのデータベースとの接続について種々検討した。電気事業は2020年度の発送電分離を前に事業者の再編が行われ、その前後でデータが接続しない。そこでいくつかの仮定を置いて接続系列を作成した。
要因分解分析についてはHicks-Moorsteen-Bjurek生産性指数を要因分解する方法について、以前に研究代表者と分担者が提案した方法(Nemoto and Goto, J Jpn Int Econ 19, 617-634. 2005.)を理論的に強化した。その結果、他の方法に比べいくつかの点で優れた性質を有する要因分解分析法を得た。この方法は大域的に規模の経済性が存在する場合に適用可能という点で既存のMalmquist生産性指数の要因分解法に優れ、データ包絡分析によって推定された微分可能でない生産フロンティアに対しても規模弾力性の近似値を計測できるという点で、他のHicks-Moorsteen-Bjurek生産性指数の要因分解分析に優れる。
次年度はこの方法で分析を行い、電気事業自由化のパフォーマンス評価を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生産性指数の要因分解分析に用いるわれわれの方法の理論的な強みを明確にできたので、今後予定する実証分析に期待が持てる。データについては、電気事業完全自由化後の2015年度以降とそれ以前との接続の不完全性が分析結果に影響を及ぼす可能性があるので、対策として生産技術モデルの簡易化を検討している。

今後の研究の推進方策

データと分析方法がほぼ完備されたので、今後は実証分析を行って電気事業の自由化プロセスの評価を行う。分析法について方針が明確になったため、当初研究予定になかった欧米の電力市場自由化との比較研究も行いたい。
ただし、わが国電気事業自由化プロセスの完了後、つまり発送電分離が行われた2020年度以降の電力市場をめぐる状況は、新型コロナ感染症の世界的流行とウクライナ情勢の影響により正常な状況とは言い難い。特に2022年度は電気料金が高騰し新規参入事業者の撤退が続く状況にあり、自由化の評価を行うのに適切ではない。2023年度は計画最終年度であるが、状況によってはより正常なデータを得るため一年計画を延長することも検討したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の影響で終了年次を延長していた別プロジェクト(基盤C)の完了を優先したため、今年度は本プロジェクトについては計算を伴う分析作業に踏み込まず、データ整備と理論的な研究に集中した。このため当初購入を予定していた計算作業用のPCを購入しなかった。これはまた、研究代表者が今年度末で在籍する大学を定年退職となるため、定年後に所属する研究機関に経理を移管してから購入することを計画したためでもある。
新型コロナ感染症の影響で、過去2年間国際学会に現地参加のための旅費を執行しておらず次年度使用額が大きくなっているが、今後は高性能PCを購入することと、当初の研究計画にはなかった欧米の電気事業自由化との比較分析に用いるためのデータ購入に充てることを予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 生産非効率が存在する場合の全要素生産性指数の要因分解2023

    • 著者名/発表者名
      根本二郎
    • 雑誌名

      経済科学

      巻: 70 ページ: 1-17

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi