研究課題
本研究は、現在行われている多様な標本調査の枠組みの下での、統計的推論の基本的な枠組みを検討し、理論的に妥当な統計手法を確立することを目的としている。2021年度は、標本調査の枠組みで、基本統計量の1つである、標本分位点の漸近正規性の速度について得た結果(Rate of convergence of the asymptotic normality of sample quantiles from a finite population )が、査読付きの学術誌Communications in Statistics:Theory and Methodsに採択された。現時点では、冊子体では出版されていないが、2021年の時点でonlineで公開されており、現在オープンアクセスとしている。また、DeGrootとSchervishの手による、統計学の教科書(Probability and Statistics, 4th ed.)を共同で翻訳して、出版した(『デグルート&シャービッシュ 確率と統計』共立出版)。それとは別に、共同で経済数学での微分積分学の利用についての教科書を執筆した(『経済学をまなぶための微分積分』実教出版)。2021年度は、また、経験分布関数について検討し、新しい結果を得た他、標本分位点についても、新しい結果を得た。その結果については、現在、査読付き学術誌に投稿するための準備を進めている。また、分布関数の推定や補助情報の利用などの、より複雑な標本抽出の枠組みでの統計量の決定理論的な評価および漸近分布論による大標本での分布評価について、理論的な検討を行った。今後は、これらの研究を継続すると同時に、より複雑な標本設計や複数の調査を統合した場合の統計的推論についても研究を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
現在までの進捗状況は、標本調査の枠組みでのいくつかの統計量の理論的な性質を明らかにすることに成功しており、おおむね順調に進行していると、判断される。
今後は、これまでの研究を継続すると同時に、より複雑な標本設計や複数の調査を統合した場合の統計的統計量の構成と精度評価を理論的および数値的に実施する予定である。
2022年度、9月からの在外研究が決定した関係から、執行計画を見直し、2022年度の研究資金に回した。在外研究先での出張費や資料収集費に充てる予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (2件)
Communications in Statistics - Theory and Methods
巻: online first ページ: 1~10
10.1080/03610926.2021.1931334