研究課題/領域番号 |
21K01429
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
元山 斉 青山学院大学, 経済学部, 教授 (20383490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 経済統計 / 標本調査 / 漸近理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、現在行われている多様な標本調査の枠組みの下での、統計的推論の基本的な枠組みを検討し、理論的に妥当な統計手法を確立することを目的としている。 2022年度は、標本調査の枠組みで、統計的汎関数などの統計量の分布評価で基本となる、経験分布関数の収束について得た結果を、査読付きの学術誌に投稿した他、同一母集団における比率の差の信頼区間について数値的な検討を行い論文として発表した(「同一母集団における2つの比率の差の信頼区間ーMonte Carlo実験による検証ー」)。また、家計の消費構造の計量経済的分析についてのサーベイ論文を執筆した(「家計消費の構造分析」)。また共同で経済数学での微分積分学の利用についての教科書を執筆した(『経済学をまなぶための線形代数』実教出版)。 また、昨年度得られた結果であるRate of convergence of the asymptotic normality of sample quantiles from a finite populationをデルフト工科大学のセミナーで報告した他、 内閣府の景気指標に関するシンポジウムでパネリストを務め、新しい景気指標の評価について報告を行った。 2022年度は、また、欠損値が存在するときの補完方法の検討や、非確率標本の下での統計的推論のサーベイを実施するとともに、単純無作為抽出よりも複雑な標本抽出の枠組みでの統計量の漸近分布論による大標本での分布評価について、理論的な検討を行った。 今後は、これらの研究を継続すると同時に、より複雑な標本設計や複数の調査を統合した場合の統計的推論についても研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は、標本調査の枠組みでのいくつかの統計量の理論的な性質を明らかにすることに成功しており、おおむね順調に進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの研究を継続すると同時に、欠測値の補間の問題や非確率標本の取り扱い、複数の調査を統合した場合の統計的統計量の構成と精度評価を理論的および数値的に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度、9月からの在外研究が決定した関係から、執行計画を見直した。本来予定していた物品費や旅費の一部については2022年度は使用せず、2023年度の在外研究先や在外研究終了後の出張費や資料収集費に充てる予定である。
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