研究実績の概要 |
(1)最小2乗法に基づく回帰分析でのモデル選択・変数選択法の論文を21年度に投稿し、審査員のコメントに基づいて22年度、数値例やシミュレーションを加えて改訂し、23年度にJournal of Statistical Planning and Inference(刈屋・倉田・林)から出版した。この論文は、伝統的な被説明変数(y)を利用した事後診断的なモデル選択・変数選択法を繰り返しても、個別推定値の効率性、安定性(非多重共線性)を確保できないため、説明変数(X)だけで事前的に有効なモデル(Xの列の部分行列がモデル)選択が可能となる革新的なEEM(Empirically Effective Modelling)法を開発し、モデルが最も有効になるための必要十分条件を導出した。そこでは、各説明変数に対して、非効率性の測度(I)と重共線性の測度(C)を、モデルの非有効性(リスク)の測度として、半順序としてモデル全体にリスク測度(I,C)を導入し、理論的にモデル選択出る構造を与えた。 (2) 実際にIC測度を制御するために、重共線性を制御する2つのアルゴリズムを開発:変数増加法と、主成分分析による変数減少法である。後者の方法は林が開発し、論文としてまとめ、利用可能である。 (3)伝統的な検定統計量t値に基づく変数選択法の有効性に関して、重共線性とt検定の関係を理論的に考察する。分析枠組みを構築し、検定関数への重共線性の影響を構造的に明らかにした。次に一つのモデル中での2つのt値同志は、説明変数の一つが連続的であると必ず相関を持つため、t値の大小による変数選択は有効でないことを示した。また2つのt統計量の平均値の恒等性を検定する一様最強力検定方式を導出している。伝統的なネイマン・ピアソン検定理論の限界を議論する。 (4) ショッピングセンターの経営方式に関する理論モデルを構築した。
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