研究課題/領域番号 |
21K01432
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
溝渕 英之 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (10516793)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フレキシブル関数形 / トランスログ関数 / 一般レオンチェフ関数 / ディーワルト関数 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、消費者物価指数における代替バイアスを計測することである。代替バイアスの計測には、まず支出関数を推計する必要となる。本研究では、機械学習的手法を応用することで、高次元の価格ベクトルを変数とする支出関数を推計し、代替バイアスをより正確に計測することを想定している。 そのため今年度は、代替バイアスの計測に用いる、支出関数のための新しい関数形の研究を行った。有意な結果を得るためにはある程度、関数形に制約を置くことが必要だが、過度な制約は、消費者の支出行動を制限してしまうため、適当ではない。ここでは、フレキシブル関数形という、経済学的にふさわしい性質を残しつつ、任意の関数について二次近似可能であるタイプの関数形を取り上げる。フレキシブル関数形としては、トランスログ・一般レオンチェフ・一般二次関数・ディーワルトなどが知られている。 今年度の研究では、新しい関数群(quadratic mean of order r)を考案し、その群に含まれる関数形がすべてフレキシブル関数形であることを証明した。一般レオンチェフ型やディーワルト型もその特殊例として考えることができ、これらの結果の一般化を行ったといえる。 今後は、これまでの経済学的なアプローチだけではなく、公理的アプローチなどを併用することで、この新しい関数群の中から、代替バイアスの計測に利用できる最適な関数形を選択できるように、研究を深めていきたいと考えている。 また、関数形の研究としては、包絡分析法の手法についても研究をすすめ、一定の成果を上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいフレキシブル関数形を考案することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまで得られた結果を、機械学習の観点から再度検討を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初参加予定であった学会等が中止になり、旅費を消化できなかったため。また、関連して、大学から支給される個人研究費が、前年から繰り越された分も含めて、例年よりも潤沢であったため、一部書籍購入等に関してはそちらから支出することができたため。
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